中学受験親の頭の中には、子どもにさせなければならない勉強や教材管理といったタスクがぎっしりと並んでいるのではないでしょうか。予定に振り回されてイライラしたり、忙しさに紛れてうっかり忘れてしまったりすることもあるかもしれません。勇気づけ⼦育てコーチング協会代表理事で、中学受験アドバイザーのたなかみなこさんは、そのような状況が起こるのは、親が自分と子の「課題」を混同しているためだと指摘します。そこで中学受験において、親子の課題を分ける基準や子どもに課題を任せる際に行うべきこと、そのために大切な塾との連携のコツを聞きました。

【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 「頑張りすぎる子」がつぶれないための親の声がけ
(2) 御三家合格ママ伝授 タスクの抜け漏れ防ぐ手帳術
(3) 中学受験のイライラ 親子の課題を切り分ければ楽になる ←今回はココ
(4) 親から子への「呪い言葉」 傷つき、犯罪に走る子も

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「結果を引き受けるのは誰か」を基準に中学受験の課題を切り分ける

 子育てコーチングとアドラー心理学を掛け合わせた独自メソッドを柱に中学受験親にアドバイスをしているたなかみなこさんは、「中学受験親の多くが子どもの課題まで背負い込んでいる」と指摘します。

 「働く親は仕事と家事、育児だけでも忙しいのに、中学受験のタスクまで抱え込んだら、焦ったり、イライラしたりしてしまうのは当たり前です。今自分が抱えている中学受験のタスクを手帳やスマホのメモに書き出して、これは親と子、どちらの課題だろうかと自分に問いかけてみてください」

 このタスクは誰の課題か? と考えるときの基準になるのが「そのタスクができなかったときに結果を引き受けたり、迷惑を被ったりするのは誰か」だとたなかさんは言います。この基準で考えていくと、中学受験のタスクは次のように分けられます。

【子どもの課題】
・勉強する
・塾をさぼらない。遅刻をしない
・先生に質問をする
・先生に言われた勉強に取り組む
・塾の宿題をする
・計算や漢字などのルーティンに取り組む
・模試に備えて勉強する
・過去問に取り組む
・忘れ物をしないように塾の持ち物をそろえる
・教材を整理する(または親に教材を渡して整理してもらう)

【親の課題】
・塾の申し込み、先生との関係構築、相談
・塾の送迎をする
・食事や睡眠管理などの日常生活をサポートする
・スケジュールを整理して子どもに伝える
・教材の整理や過去問のコピーなど勉強環境を整える
・塾弁当を準備する
・学校選びを手助けする
・受験手続きをする
・費用を準備する

 「子どもに勉強させることは親の課題だと思うかもしれません。それは、勉強しないで成績が下がると親がイライラしたり不安になったりするからでしょう。しかし、塾のクラスが落ちる、志望校に受からないといった『結果』を引き受けるのは子ども自身です。つまり勉強することは子どもの課題だということになります」

 たなかさんは、課題を混同しているために教育虐待に近いことをしてしまう親もいるといいます。それはどうしてなのでしょうか。