「勉強しなさい」「早くしなさい」…子どもが高学年になると中学受験の塾通いなどで親子ともに忙しくなり、このような声かけをしている家庭も多いのではないでしょうか。しかし、こうした言葉が、時として子どもの成長において逆効果になるだけでなく、子どもを追い詰め、非行や重大犯罪を引き起こした例もあります。東京未来大学こども心理学部長で、『犯罪心理学者が教える 子どもを呪う言葉・救う言葉』(SB新書)の著者でもある出口保行さんに聞きました。
【年齢別記事 小学校高学年のママ・パパ向け】
(1) 「頑張り屋さん」がつぶれないための親の声がけ
(2) 御三家合格ママ伝授 タスクの抜け漏れ防ぐ手帳術
(3) 中学受験のイライラ 親子の課題を切り分ければ楽になる
(4) 親から子への「呪い言葉」 傷つき、犯罪に走る子も ←今回はココ
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「勉強しなさい」が親への殺意となった例も
日ごろ子育てをしていると、つい子どもに言ってしまう「勉強しなさい」「頑張りなさい」「何度言ったら分かるの」といった言葉。もしかしたら、「毎日のように言っている」というママ・パパもいるかもしれませんが、「時と場合によっては子どもを追い詰め、将来的に、非行や重大犯罪につながるケースもあります」と、東京未来大学こども心理学部長の出口保行さんは言います。
「私は法務省に入省後、全国の少年鑑別所や刑務所、拘置所などで約1万人の非行少年、犯罪者を心理的に分析する資質鑑別に従事しました。中には『幼い頃から優等生で、有名な進学校に通う子ども』が、親からの『勉強しなさい』という言葉が負担となり、両親への殺人未遂を起こした事例もありました。親の言葉が思いもよらぬ形で子どもを追い詰めているケースは多々あるのです」
犯罪にまで至らないとしても、勉強のやる気を失わせたり、先を読む力が育たなかったりするなど、健やかな発育を阻害する要因にもなり得るそうです。
これらは、もともとは子どものためを思って発せられた言葉であるはず。それが、結果として「毒親」発言となり、教育虐待などにもつながってしまうということです。
「子どもへの声かけ自体は悪くありません。むしろ、良いことです。大事なのは、その土台に親子の信頼関係や普段からのコミュニケーションがあるかどうか。一方的な声かけになっていないかどうかを振り返る必要があります」
出口さんはこのようにアドバイスします。
では、親は一体、どのように声かけをすればいいのでしょうか。
・「勉強しなさい」が親への殺意につながった例も
・「早くしなさい」が子どもから奪うものは
・なぜ親子の気持ちはすれ違うのか。背景にあるのは「認識のズレ」
・親の「確証バイアス」に注意
・過度なプレッシャーをかけていたとしても、やり直せる