人の数だけ悩みもある。どんなに年を重ねても、悩みの種は尽きません。あなたの悩みに寄り添う連載、今回は「年老いて、ひきこもりがちになった母親と同居すべきか」というお悩みです。今回はコロナ禍を機に実家へ戻ることになったお笑い芸人のにしおかすみこさんに回答していただきました。
<上>にしおかすみこ 認知症の母と同居「5年後は考えない」 ←今ココ
<下>にしおかすみこ 執筆活動は生活と家族と、自分のため
老いていく母 いずれ同居すべきか
「最近、母が同じ話を繰り返しているような気がして」。そう話すのは、夫と2人で都内に住む40代の優美子さん(仮名)だ。自宅から電車とバスを乗り継いでおよそ2時間弱、神奈川県の海沿いののどかな町に実家がある。
新型コロナウイルス禍を機に、70代の一人暮らしの母は家にこもるようになった。もともと出無精な人だったが、さらに輪をかけて出歩かなくなった。足腰も以前より弱っているだろう。近ごろはようやく近所を散歩するようになったようだが、まだまだコロナ感染者数が減らないのもあって、人混みに出かけるのをためらう。年末年始に帰省しようか、と話を持ちかけるも「来なくていい」と言われる始末だ。
そうは言っても心配な優美子さんは、時折電話をかける。「毎日かけると鬱陶しがられるので、ごくたまに。さっきも同じことを話していなかったっけ?と思うこともあります。話すことがないのか、初期の認知症なのか。いずれにしても、いずれ母と同居せねばならない日は近いのだろうか、なんて思いが頭をよぎります」
と言うのも、友人から「母親のけがをきっかけに、関東北部の実家に毎週末帰省している」という話を聞いたからだ。母親が心配で帰っているものの、平日フルタイムで働きながらの帰省は、体力的には厳しいものがあるらしい。
「私の実家は、自宅から片道2時間弱。通えない距離ではありません。今はまだ手助けの必要がないけれど、いつかそのときが来たら私は果たして通えるのか。いっそのこと同居したほうがいいのか。そのときが来てみないと分からないけれど、心の準備ができないでいます」
にしおかすみこさんに聞いてみた
そこで今回は、お笑い芸人のにしおかすみこさんに話を聞いた。にしおかさんはコロナ禍をきっかけに実家の家族と同居。その様子を書き記したエッセイ『ポンコツ一家』(講談社)が話題だ。