親の介護は「自分が後悔しない選択」でいい

 育ってきた環境は、人それぞれです。どんな愛情を受けたのか、受けていないのか。家族の紡ぎ方は、家族の数だけあると思います。

 さまざまな家族の形がある中で、親のために実家へ帰って面倒を見るのがいいとも悪いとも言えないし、介護施設に入居させるのも、遠くから見守るだけなのもそう。正解は一つではなく、みんな違っていいし、それぞれ自分が決めたことが正解だと思います。

 まずは自分が元気でいることが一番だし「あまり周りの意見を気にせず、自分の選択を信じる」でいいと思います。

 もちろん、これまで親と折り合いが悪かった人もいるかもしれません。自分が実家に帰りたくないのであれば、無理をしてまで帰らなくてもいいのではないでしょうか。ただ、年齢的な順番からすると、普通は親のほうが先に死んでしまいますよね。そのときに「あのとき和解しておけばよかった」と自分が悔やみそうなのであれば、何かしら行動を起こしてみる。自分が後悔しない選択をすれば、その答えが何であってもよいと、私は思うんです。

「~ねばならない」はしんどい

 昔から、母は家族間での「ありがとう」とか「ごめんね」を伝えるのが下手でした。けれど最近、料理を作ると「おいしいです」とそこだけ敬語で言うようになって。母なりに、実家に帰ってきた娘に対して何か思うところがあったのかもしれません。まだまだ照れくさそうなぎこちなさはあるけれど、かわいいおばあちゃんだなあと思ったりします。

 「親の介護をしなければ」「親のために実家に戻らねば」と「~ねばならない」と考え出すと、しんどくなってしまいますよね。今は実家暮らしをしているけれど、いつかこの状況がしんどくなって自分が病んでしまうくらいなら、いつでも私は出て行く気です(笑)。

「不安は常にあります。でもあまり未来のことは考えません。今日明日が楽しく笑っていられればいいかなって」
「不安は常にあります。でもあまり未来のことは考えません。今日明日が楽しく笑っていられればいいかなって」

 5年後、10年後の目標はあまり考えないですね。考えても途中からブレ始めてしまうから、「考える」そのものをやめてしまう。それよりは、今日や明日の朝ごはんくらいまでのことを考えて、今日、なんとか心も体も健康ならよし、としています。

 とはいえ、不安は常にありますよ。家族みんながどうなっていくか次第でもありますし。でも「将来こうなりたい」と決めたところでその通りにはいかないことが多いから、流れに身を任せて生きていく、くらいです。

母と、父と、姉の4人家族のどたばたとした様子がつづられたエッセイ。読んでいて明るい気持ちになり、母に会っておこうと思わせてくれます(編集部)
母と、父と、姉の4人家族のどたばたとした様子がつづられたエッセイ。読んでいて明るい気持ちになり、母に会っておこうと思わせてくれます(編集部)

 <下>では、にしおかさんが芸人を目指したきっかけや、これからの展望について聞きました。引き続き「にしおかすみこ 執筆活動は生活と家族と、自分のため」もお楽しみください。

取材・文/尾崎悠子(日経xwoman doors) 写真/稲垣純也

下編「にしおかすみこ 執筆活動は生活と家族と、自分のため」では、次のストーリーを展開

■「ちやほやされたい」芸人の道へ
■過激ファッションでも「とにかく売れたかった」
■私の文章で誰かが笑ってくれたらうれしい