(上)では、モデルやタレントとして活躍する西山茉希さんに「『自信がない』と悩んでしまう自分が嫌い」というお悩みにアドバイスをもらいました。今回は、西山さんがモデルを目指したきっかけや、さまざまな経験から得た心のあり方について聞きました。

(上)西山茉希 自分を否定する言葉、自分に言うのをやめた
(下)西山茉希 ほしいのは「心の支え」よりも「心の柔軟性」  ←今回はココ

西山茉希(にしやま・まき)さん
1985年、新潟県生まれ。2004年にファッションモデルとしてデビューし、現在はタレントとしても活動している。著書に『だいじょうぶじゃなくてもだいじょうぶ』(大和書房)


スカウトされるも「太っている」の言葉に衝撃

 生まれは新潟県長岡市です。祖父母が営む書店で母が働いていたので、小さい頃はよくいとこたちと店内で遊んでいました。男の子たちに交じって冒険しに行ったり鬼ごっこをしたりとおてんばだった半面、母と友達が集まる会があると、大人たちの前では恥ずかしくておしゃべりできなくなってしまう。そんな子どもでした。

祖父母が書店を経営していたこともあって、幼少期から本になじみがあったという西山さん。いとこたちと、店内で遊ぶことも多かったとか。
祖父母が書店を経営していたこともあって、幼少期から本になじみがあったという西山さん。いとこたちと、店内で遊ぶことも多かったとか。

 生まれ育った大好きな街を出るとは、高校3年生のときに東京に行くまで考えたこともありませんでした。それまで、私にとって東京は「遠い場所」。憧れのような感情は、当時は抱いていませんでしたね。

 スカウトをされたのは、友人たちと東京へ卒業旅行に行ったときでした。彼女たちの目的は進学する大学や専門学校の下見。終わったら原宿で集合しようと約束し、私はその間ひとりショッピングをしようと銀座へ向かいました。

 ショッピングも済ませ、さて原宿へ向かおう……としたものの、どうやって行けばいいか分からない。迷子になってしまいました。当時持っていたPHS(簡易型携帯電話)では、スマートフォンのように現在地の分かる地図も見られません。地元では電車に乗る機会も少なかったので慣れておらず、初めて目にする銀座の街並みは、どこが地下鉄の駅なのかも分かりませんでした。

 途方に暮れていた私に声を掛けてくれたのは、芸能事務所の人でした。原宿に連れて行ってくれると言い、その電車内で「モデルにならないか」とスカウトされたんです。その急な発言だけではなく、続く言葉に驚きました。

 「でも君は太っているし、デビューするには痩せなきゃだけどね」

 冬の間、雪国の新潟ではミニスカートで足を出したり、滑ってしまいそうなブーツを履いたりするのは避けていました。それほど寒さの厳しくない東京旅行で、ミニスカートもブーツも履いて思い切りおしゃれをしていた私にとって、衝撃的な一言でした。