この連載では、常識にとらわれず自分なりの家族のカタチと幸せを追求している人を紹介します。今回登場するのは、元宝塚歌劇団月組トップスターで、現在は女優として活躍する瀬奈じゅんさん。瀬奈さんは、俳優・ダンサーの千田真司さんと結婚後、不妊治療を経て特別養子縁組で1人の男の子を家族に迎えました。上編では、不妊治療を始めたきっかけや、特別養子縁組という選択肢が生まれた経緯を聞きました。
(上)瀬奈じゅん つらい治療も「頑張れば授かる」と信じてた ←今回はココ
(下)瀬奈じゅん 望むのは特別養子縁組が「特別」でない社会
夫と出会うまで、自分が結婚すると思っていなかった
編集部(以下、略) 瀬奈さんは、子どもの頃から「将来はこんな家族をつくりたい」という明確なイメージを持っていたのでしょうか?
瀬奈じゅんさん(以下、瀬奈) 持っていなかったですね。自分が結婚するとも思っていませんでした。16歳で宝塚音楽学校に入学してから、ずっと稽古と舞台中心の生活を送っていましたし、一人暮らしが長かったので、誰かと生活を共にすることも考えられなくなっていました。
―― 38歳のときに俳優・ダンサーの千田真司さんと結婚されますが、きっかけは何だったのでしょうか?
瀬奈 夫とは、宝塚歌劇団を退団した後の初舞台で知り合い、ひと月もたたないうちに結婚を意識しました。今でも覚えているのは、付き合う前に2人で伊勢神宮に出かけたときのことです。
参拝の途中で大雨が降り、雨宿りのためにお店に入って休憩していたのですが、私が「虹が出そうだね」と言おうとしたら、夫が先に「虹が出そうだね」と言って。これ以外にも、私が言おうとしたことを夫が先に言うことが何度も続き、このときに「私はこの人と結婚するかもしれない」と思ったんです。
―― 普段から直感が働くタイプなのですか?
瀬奈 いえ、普段はそういうタイプではありません。でも、なぜかこのときは違いましたね。お付き合いをするようになってからも、夫といると本来の自分でいられると感じました。もともと自分が結婚するイメージも持っていなかったので、子どもがほしいと思ったのも夫と出会ってからです。
―― 結婚後、どういう経緯で不妊治療をすることになったのでしょうか?