フリーアナウンサーの久保純子さん。現在は米国に家族と住み、モンテッソーリ幼稚園の先生として、多忙な日々を送っています。この連載では、2人の娘を育てるママでもある久保さんの目を通したモンテッソーリ教育の魅力をお伝えしていきます。第2回は、モンテッソーリ教師の国際資格を取得するまでの2年間の学びについて聞きました。

娘たちが幼稚園、小学校に行っている間に学校へ

日経xwoman編集部(以下、略) 夫の転勤でカリフォルニアに移り、仕事をセーブしたことから時間ができて、モンテッソーリ教師を養成する学校に通ったと前回お聞きしました。資格を取ると決めたとき、家族からはどんな反応がありましたか?

久保純子さん(以下、久保) 共働き夫婦として、夫とは子育ての全てにおいて協働してきていました。モンテッソーリの資格を取ろうと思うと言ったときは、応援してくれて、私以上に喜んでいたかもしれません。

── 資格を取るのに必要な期間はどのくらいで、どんなことを学ぶのでしょうか?

久保 2年間です。1年目は座学で、2年目はモンテッソーリの幼稚園で教育実習を行います。私は2年目のときに帰国することになったので、実習は日本の幼稚園で行いました。座学では、モンテッソーリの教育原理や、次の5つの分野などを体系的に学びます。

モンテッソーリ教育の5つの分野
日常生活の練習: Practical Life
感覚教育: Sensorial
言語教育: Language
算数教育: Mathematics
文化教育: Culture

 モンテッソーリ教育では子どもの活動を「お仕事(works)」といいます。例えば日常生活の分野には、手を洗う、靴をみがく、ボタンを留め外しする、掃除をするなどのお仕事があります。感覚教育というのは特にモンテッソーリらしい分野なのですが、いろいろな植物の葉っぱの形を教えたり、色を濃い色から薄い色に並べていく「カラータブレット」という教具を使ったりします。算数教育では、「台形は“trapezoid”」などと、一つ一つの形の言葉を教えたり、手の感覚を使うモンテッソーリでのやりかたで四則演算を教えたりします。

 それぞれのお仕事は、効率よくできるようにステップが決まっていて、先生になったら、子どもたちに正しくプレゼンテーションしなければなりません。そのため、座学で学んだ内容は、自分でまとめて写真を添え、分野ごとに分厚いバインダーにとじていました。そのバインダーは、今、先生になって役に立っています。

 モンテッソーリ教育にはオリジナルの教具もたくさんあります。それぞれの教具について使い方が細かく決められているので、マスターしたかどうかテストを受けるということもありました。判定が厳しくて、少しでも手順を間違えると不合格。もう一度復習してきて再びチャレンジしなければならないのが大変でしたね。

放課後は、次の日の工作アートの準備。ハロウィン、紅葉、雪だるまや桜など、季節に合わせて、工作のテーマも毎月変えます。写真提供/久保さん
放課後は、次の日の工作アートの準備。ハロウィン、紅葉、雪だるまや桜など、季節に合わせて、工作のテーマも毎月変えます。写真提供/久保さん