子どもが学校に上がると親が避けて通ることができないのがPTA活動。「子どもたちのため」であれば参加したい一方で、子育てと仕事の両立で時間がない中、実際問題PTA活動のために時間を割くのが大変というのも事実。活動においては「なんで、どうしてこうなるの?」といったモヤモヤを感じたり、「どうしよう!」というピンチの場面に直面したりすることもありがちです。こうしたPTAの在り方は今や社会問題の1つにもなっています。本連載では、そんな親のモヤモヤや、「あのとき、一体どうすればよかったの?」の声に答えながら、PTAをより良いものに変えていくための参加の方法や、これからのPTAの在り方について考えていきます。

 連載3回目と4回目は、東京都初の民間人校長として2003年から5年間杉並区立和田中学校の校長を務めた藤原和博さんに話を聞きました。前編では、藤原さんが03年に杉並区立和田中学校の校長に着任後、学校に山積する問題や課題を解決するために、学校を地域に開いていったこと、そして親が嫌がるPTAを変えていきたいという問題意識から杉並区、東京都、全国のPTA協議会から抜ける決断をするまでの過程について紹介しました。

学校の共同経営者として参画してくれる人を募集

 PTA協議会を抜けた和田中で、従来のPTAの代わりに設置したのが「保護者の会」でした。PTAが「親と先生の会」だったのに対し、「保護者の会」には教師は入っていません。もともとPTAは現実的には保護者だけの活動だったことも踏まえ、「保護者の会」としたほうが分かりやすいですし、むしろ学校と親とがフェアに向き合い、協力関係を築くことができると考えました。

 保護者の会になってからは、4月の役員決めの際は私も各教室を回って「学校の共同経営者として参画してくれる人を募集します」という話をしました。参画してくれるメンバーには学校の経営情報をはじめとするさまざまな情報を公開するので、学校運営に深く入り込んでもらいたいという話もしました。実際に、活動が始まってからは、時に職員会議にかける前の議題について保護者の会のメンバーに共有し、相談することもありました。学校サイドとしても先に保護者の意見を聞くことで事前マーケティングができるので、よりよい判断につなげていけるメリットがあまりした。

 このようにPTAから保護者の会に移行する中で大きく変わったのが役員決めの光景でした。

「手を挙げた保護者たちは、どんどん意見を出してくれて、保護者の会は活気に満ちていました」(藤原さん)(写真はイメージ)
「手を挙げた保護者たちは、どんどん意見を出してくれて、保護者の会は活気に満ちていました」(藤原さん)(写真はイメージ)