「日経WOMAN」が、この1年に各界で最も活躍した働く女性に贈る「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」。受賞者の一人が、花王の遠藤舞憂子さん。遠藤さんはコスメブランドKATE(ケイト)の口紅「リップモンスター」を開発。リップモンスターは「コロナ禍では売れない」という声を覆し、550万本超えと大ヒット商品に。そこで開発者の遠藤さんに開発背景や、キャリアの軌跡を伺いました。

花王株式会社 化粧品事業部門マステージビジネスグループ KATE
遠藤舞憂子(まゆこ)さん(44歳)
1978年生まれ。服飾系の大学を卒業後、2001年にカネボウ化粧品(現・花王)に入社。働きながらカネボウメイクアップスクールに通学。新ブランド立ち上げなどを経てKATEを担当。19年よりKATEの開発チームリーダーに。


●受賞理由1
「コロナ禍では売れない」を覆し550万本超え、爆売れリップを開発
「潤いと落ちにくさを両立したリップ」の需要を確信。「マスク生活では売れない」という声を覆し、累計出荷本数550万本突破のヒット商品を生んだ。

●受賞理由2
独自のネーミング、SNSのバズらせ戦略で世界観と機能性のアピールに大成功
世界観を伝える斬新なネーミングやYouTuberによる配信などSNSでバズる仕掛けが大当たり。発売後はツイッターやTikTokで大きな話題に。

品質の高さとユニークさ絶対売れると確信!

 「ラスボス」「2:00AM」「欲望の塊」――。これらはすべて、花王のコスメブランドKATE(ケイト)の口紅「リップモンスター」の色の名前。ユニークなネーミングに、落ちにくさと潤いを両立した機能性も相まって、2021年5月の発売以来、累計出荷本数550万本以上の大ヒット商品に。いまだに入手困難な状態が続いている。

 その「爆売れリップ」の仕掛人が、KATEの開発チームを率いる遠藤舞憂子さんだ。企画が立ち上がった頃はコロナ禍でマスク着用が当たり前になり、口紅の売上は激減していた。

 「一方で、私たち開発チームのメンバーは毎日必ず口紅をつけていたし、SNSでも『マスクだから落ちない口紅が欲しい』というメイク好きの声を目にしていた。生活実態が変わったことで、それに合った口紅を探している人たちはいると確信していました」

発売中の日経WOMAN1月号では、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」受賞者たちの「逆境を救った言葉」や、審査員が今年の受賞者のキャリアから導き出した「やりたいことで自己実現するための4つのキーワード」のほか、「人生の景色が変わる本&映画&ドラマ」特集にて、受賞者の一部によるおすすめ本も紹介しています