「日経WOMAN」が、この1年に各界で最も活躍した働く女性に贈る「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」。受賞者の一人が、株式会社無駄代表取締役の藤原麻里菜さん。一見無駄だが身に覚えのある感情をすくい上げた独創的な発明品をSNSで発信。「無駄が心を豊かにする」という価値観を投げかけました。そんな藤原さんのキャリアの軌跡にせまりました。
「無駄づくり」という全く新しい価値観で独自のキャリアを形成
一見無駄だが身に覚えのある感情をすくい上げた独創的な発明品をSNSで発信。「無駄が心を豊かにする」という価値観を投げかけた。
●受賞理由2
企業コラボ、執筆活動…SNSエンタメの枠を超え活躍
「共感を呼ぶ」「人に伝えたくなる」ものづくりでSNSの動画再生回数は4000万回超。カルビーなど企業コラボ案件も多数受注する。
失敗経験からの「無駄」がSNSで多くの共感を呼ぶ
実用的ではないが、身に覚えのある感情をすくい上げる独創的なものづくりで脚光を浴びるコンテンツクリエイターの藤原麻里菜さん。これまでに制作した発明品は「オンライン飲み会緊急脱出マシーン」「インスタ映え台無しマシーン」など200点以上。日常で引っかかりを感じた出来事や、こうだったらいいなという感情をカタチにし、「無駄づくり」と題してYouTubeやツイッターなどで発信を続ける。本人出演の動画で発明品を淡々と実演する様子がシュールで、コメント欄には好意的な反応がずらり。2021年にはSNSの動画再生回数が4000万回を突破、ツイッターのフォロワー数もここ1年で18万人増の30万人超(22年11月現在)と、SNSと親和性の高い「共感を呼ぶ」「人に伝えたくなる」ものづくりを展開する。
そんな藤原さんのキャリアのスタートは芸人。高校卒業後に吉本総合芸能学院(NSC)を経て芸人デビューするも「全くウケず」、1年で方向転換。吉本興業社内で立ち上がったYouTubeプロジェクトに立候補して13年にチャンネル『無駄づくり』を開設した。「人前でネタを披露するより、インターネットで面白いことを発信するほうが向いている」と自身の特性を見極めたことが、現在の活躍につながった。当初はEテレの『ピタゴラスイッチ』に登場するような、からくり装置を作ろうと試みたが、手先があまり器用ではなく、物理や電子工学の知識もなかったため失敗。しかし、その経験から「せっかく作ったものをゴミにしたくない」と、「無駄づくり」という新たなコンセプトの発想を得た。
発売中の日経WOMAN1月号では、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」受賞者たちの「逆境を救った言葉」や、審査員が今年の受賞者のキャリアから導き出した「やりたいことで自己実現するための4つのキーワード」のほか、「人生の景色が変わる本&映画&ドラマ」特集にて、受賞者の一部によるおすすめ本も紹介しています