「日経WOMAN」が、この1年に各界で最も活躍した働く女性に贈る「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」。受賞者の一人がウクライナ避難民支援でも注目の社会起業家の渡部カンコロンゴ清花さん。渡部さんのキャリアの軌跡について伺いました。

NPO法人WELgee 代表理事
渡部(わたなべ)カンコロンゴ清花(さやか)さん(31歳)
1991年静岡県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム修士課程修了。2018年NPO法人WELgeeを設立。難民の経験やスキルを生かした伴走型就労事業を展開。コンゴ民主共和国出身の男性と結婚。1児(写真右)の母。


●受賞理由1
発想を転換した「就労支援」で難民問題解決の新たな糸口に
難民を「人材」と捉え、日本企業への就職で長期の在留資格を得る、という新しい支援方法を確立。在留資格変更の実績もつくった。

●受賞理由2
日本企業も成長させるWin-Winの実績を拡大し、共生社会を目指す
就労支援の実績から、難民が持つスキルや経験を生かすことは日本企業の成長にもつながることを証明。大手企業との協働事例も増加。

難民を「弱者」ではなく「人材」として支援

 ロシア軍の侵攻で来日したウクライナ避難民は約2100人(*1)にのぼり、多くの日本人がこの問題に目を向けた。難民の就労支援に奔走するNPO法人WELgeeの渡部カンコロンゴ清花さんのもとにも、企業からの問い合わせが増加。メディアへの出演や講演依頼も一気に増え、注目が集まっている。

 大学院生だった2016年にWELgeeを立ち上げ、18年に法人化。難民を、支援物資が必要な「弱者」ではなく、祖国で培ったスキルや経験、情熱に光を当てた「人材」として捉え直し、日本企業への就労をサポートする事業を展開する。長期の在留資格を獲得するという新しい難民支援の形を構築した。

発売中の日経WOMAN1月号では、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」受賞者たちの「逆境を救った言葉」や、審査員が今年の受賞者のキャリアから導き出した「やりたいことで自己実現するための4つのキーワード」のほか、「人生の景色が変わる本&映画&ドラマ」特集にて、受賞者の一部によるおすすめ本も紹介しています