「日経WOMAN」が、この1年に各界で最も活躍した働く女性に贈る「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」。受賞者の一人がアイスバー「ブラックモンブラン」を手掛ける竹下製菓社長の竹下真由さん。竹下さんのキャリアの軌跡について伺いました。

竹下製菓株式会社 代表取締役社長
竹下真由さん(41歳)
1981年佐賀県生まれ。東京工業大学工学部経営システム工学科を経て、同大学院へ進んだ。2007年、アクセンチュアに入社。社内結婚後、11年に退社し、竹下製菓に入社。16年、代表取締役社長に就任。1男2女の母。


●受賞理由1
アクセンチュアでの経験を生かしグループ全体の売上を2倍強に
廃棄ロスの削減や社員全員が発言できる職場づくりなどの組織改革、ホテル運営の多角化経営など、コンサルで培った手腕で売上を倍増。

●受賞理由2
後継者難の地方企業の事業と雇用をM&Aで守る
後継者難に直面する企業を調査。M&Aで子会社化することで事業承継に悩む中小企業の技術や雇用を守り、地域経済の発展にも寄与。

10代で「継ぐ」と決意し、アクセンチュアで武者修行

 発売から53年、九州を中心に根強いファンを持つアイスバー「ブラックモンブラン」。この人気商品を手掛けるのが、佐賀の竹下製菓だ。竹下真由さんは6年前に同社を事業承継した。

 社長就任前と比較するとグループ全体の売り上げは200%超。年間数千万円に及んだ廃棄ロスも原料見直しや包材開発で3分の1まで抑え込み、M&Aやホテル経営で事業を拡大させた。

 皆に愛されるアイスクリームを作る家業が幼い頃から自慢で、自分が継ぐと決めていた。が、「ひとりっ子なので、周りからは『お婿さんに継いでもらわなきゃ』と言われることが多くて。女性だからこそ、周囲を納得させるスペックを身に付けたいと思っていましたね」。

 そこで、大学院では経営工学を専攻し、企業経営の分析、データや数字の読み方を徹底的に学んだ。就職先も家業に生かせるかを第一に考え、アクセンチュアでコンサルタントとして経営のノウハウを叩き込んだ。「大企業の組織内部や社員の意識を知ることができ、今の社長業に生かせています」。また、アクセンチュア時代は夫探しにも注力。「家業も継ぎたいし、子どもも欲しい。となるとパートナーは必須。地方で探すのは難しいから、同業のコンサルタントならいいなと思って」。30歳で社内結婚した夫は現在、竹下製菓の副社長で公私ともにパートナー。綿密な人生計画で理想的な事業承継を実現させた。

発売中の日経WOMAN1月号では、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2023」受賞者たちの「逆境を救った言葉」や、審査員が今年の受賞者のキャリアから導き出した「やりたいことで自己実現するための4つのキーワード」のほか、「人生の景色が変わる本&映画&ドラマ」特集にて、受賞者の一部によるおすすめ本も紹介しています