女性ホルモンのゆらぎによって起きる更年期のさまざまな症状。日本人の平均閉経年齢は50歳前後なので、閉経をはさんだ前後5年、仕事での責任が増す45~55歳が更年期世代に当たります。生理と違って周期や予兆がなく、症状が長引きやすいのが更年期障害の特徴。働く女性にとって、更年期の症状は仕事にどんな影響があるのでしょうか。ARIA読者のリアルな声を紹介します。
知りたいこと1◆「悩んでいるのはあなただけではない」
【ARIA読者の声・上】以前のように仕事が進まない…とまどう更年期のリアル
ARIA読者を対象にしたアンケートで更年期になんらかの症状を感じたことがあると回答した人(63人)のうち、「仕事に影響した」は75%。中には症状が悪化して休職した人や、退職せざるを得なかったという声もありました。更年期に多いといわれるのが急に体がカーッと熱くなるのぼせやほてり、発汗といったホットフラッシュ。特に会議や打ち合わせ、商談など、突然の汗に悩まされるケースが多くありました。
【ARIA読者の声・下】男性上司に更年期の理解をどう求める? SOSの出し方
「更年期と仕事」に関する読者アンケートを紹介する記事の後編。職場での開示について、「相談に適した人がいないのでしたことがない」「そんな雰囲気ではない」「相談したがサポートは得られなかった」という声がある一方で、職場でも更年期を隠さずに語ることで気持ちが楽になったという声も。上司に相談したことから就業状況を見直してもらい、症状が改善したという、2人のケースを紹介します。
知りたいこと2◆「不調を感じたら、婦人科に頼ることも大切」
更年期で仕事も夫も失った…どん底抜けた56歳の現在地
酒ジャーナリストの葉石かおりさん(56歳)は、30代半ばから突然起こった体の不調の影響で仕事の契約打ち切りや離婚などを経験。40代で「更年期障害」と診断を受け、以降約15年間婦人科へ定期的に通いながら体の変化と向き合い続けています。48歳で再婚、50代でベストセラー本を出版し「今が一番幸せ」と語る彼女に、更年期不調に悩んだ経験、仕事や日常生活への影響を最小限に抑える工夫、60代に近づく今も進行中の体の変化について詳しく聞きました。
更年期 長期的な健康を考えたホルモンケアの選択は?
「更年期は怖い」というイメージがあるかもしれませんが、卵巣の役目が終わるのは自然な流れ。生殖から解放されて、楽になることもたくさんあります。また、更年期は誰にでも訪れますが、ホットフラッシュや発汗、関節痛、手足の冷えといった更年期障害の症状が起きるのは全体の約4割といわれています。むやみに更年期を恐れないための知識を、産婦人科院長を務める善方裕美さんに聞きました。
知りたいこと3◆「こんな症状も実は更年期が関連」
眠れない、やる気が出ない…それは「更年期うつ」かも
更年期の症状としてホットフラッシュなどがよく知られていますが、それ以外にやる気が出ないなどのうつ症状、ちょっとしたことで緊張するといった不安症状、寝付きが悪い、熟睡感がないといった不眠症状などの精神神経症状を感じている人が意外に多くいます。うつ病と更年期障害を見極めるには? 更年期のうつ症状を軽減するにはどうしたらいいか? 詳しい医師に聞きました。
更年期に始まるデリケートゾーンの悩み 最新治療を紹介
更年期世代の新たなキーワードが「GSM(閉経関連尿路生殖器症候群)」です。2014年、国際女性性機能学会と米国更年期学会において新たな疾患として提唱されました。「これまで更年期以降、女性器におこる症状は『萎縮性腟(ちつ)炎』という病名で呼ばれていましたが、それはあくまで解剖学的な名称。もっと女性の悩みに寄り添って、症状や病態を総合的にとらえようという動きから生まれたのがGSMです」と女性医療クリニックLUNA理事長の関口由紀さんは話します。
知りたいこと4◆「更年期の先には、こんな明るい世界がある」
小島慶子 更年期は人生の新しいステージの始まりだ
「そろそろ更年期についても、もっと敬意ある態度で語られるようにしたい。(中略)生理が終わるということは、あの毎月の煩わしさからの解放でもある。どれほどクオリティー・オブ・ライフが向上することか! さまざまな不調を伴う大きな身体の変化の時期は、しんどいけれども祝福すべきものでもあるのだ……という旨をツイートしたら、1700以上リツイートされ、9800以上のいいねがついた」
柴門ふみ「ご機嫌に年を重ねる5カ条」人生に無駄はない
60代からの人生、初めての経験にビックリすることはもうなくなると思ったら意外にも新鮮なことが目白押しで、純粋に楽しんでいる、と話すのは漫画家の柴門ふみさん。「『初老眼鏡』とか『初孫』とか『初介護パンツ』とか。そろそろ『初ウィッグ』にも興味あります(笑)。新鮮な世界が広がっているから、『ARIA読者の皆さま、どうぞお楽しみに』と言いたいですね」
構成・文/日経xwoman ARIA