自分が率先して動き、押しつけないで対話をする

―― 47歳で社長に抜てきされたときは、ちゅうちょする気持ちはありましたか?

皆川 正直、えー? と思いました。「初転勤が米国で、しかも社長ですか!」と。でも「良い経験になるから」と言われて、「だとしたら、自分でこの会社の価値を高めるチャンスかもしれないな」と、開き直りました。引き受けて失敗するリスクより、引き受けずに得られた機会を逃すリスクの方が高いと思ったんです。

―― ご自身のマネジメントスタイルについては、どう分析されていますか?

皆川 「こういうふうにやっていこう」と社員に言うからには、自分が率先して実行する必要がある。自分が率先して動く。そして押しつけないで対話をする。そんなマネジメントスタイルを心がけています。

―― 今後の目標をお聞かせください。

皆川 当面の目標は、社員がより楽しく仕事ができる環境をつくること。私がNSSCの社長に就任して1年後に行ったモチベーションサーベイで、ポイントが10以上アップしたんです。その数値を見たとき、すごくうれしかったんです。「社員が幸せなら自分も幸せ」と実感したので、みんなが楽しく働ける環境整備を追求していきます。

―― 日本ユニシスでも、皆川さんの後に続く女性リーダーがさらに増えていくのではないでしょうか。

皆川 はい。そう願っています。日本ユニシスは、もともと女性が働きやすい風土があります。育児・出産からの職場復帰率は100%近いですし。皆さん、おちゃめで面白い人が多いのも、ユニシスの特徴かなと思います。

―― 管理職に就くことに対して不安を感じている女性もまだまだ多いようです。そんな女性たちにメッセージをお願いします。

皆川 最近は、「俺に付いてこい」型の旧来のタイプだけではなく、コーチングや対話を大事にするリーダーシップも評価され始めているので、思い切ってやってみればいいと思います。管理職になってみると、「意外と自分に向いていた」と気づくかもしれません。

 ただ、周りの人が期待するリーダーシップの型と違うことをやる場合は、味方がいないとつらい。上司や周りの人に「自分はこういうふうにやっていこうと思う」と伝えながら、味方を増やす必要はあると思います。あとは開き直って、やってみたらいいんじゃないかな。

 これまでの日本社会はヒエラルキー型の構造だったので、管理職には強いリーダーシップが求められてきました。でも、近年はフラット型の組織へシフトする動きも出てきています。フラットな組織で求められるのは、メンバーを引っ張っていく力ではなく、対話力や調整力、個々をケアする力。それは女性が得意とするところです。こういう組織構造が、日本の企業にもっと出てくるといいな、と思っています。

皆川和花
米国NUL System Services Corporation(NSSC)代表取締役社長
皆川和花 1972年、埼玉県生まれ。学習院大学大学院 自然科学研究科修了。1997年、日本ユニシス入社。システムエンジニアとしてミドルウエア開発や先端技術研究に従事。2004年よりコンサルティング部署にて業務改善プロジェクトに参画。2011年、テレビ通販事業を立ち上げ、運営責任者としてコールセンター運営、システム運用、マーケティングを統括。2014年、マーケティング組織でサービス企画支援。2017年、社長業務秘書として、社長の社内外へのメッセージ配信を含む広報活動を行う。2019年、日本ユニシス100%出資の米国現地法人であるNSSCの社長に就任。

文/青木典子 写真/鈴木愛子