まずは思い切って言ってみる、そこから物事は始まる

――「女性の経営者、管理職がもっと必要だ」というトップは随分増えました。クオータ制に賛成する人も少なくありません。一方で、育成を怠ってきたことを反省しつつ、その候補となる女性がいないと嘆く人もいる。クオータ制は逆差別につながるという意見さえあります。

吉田 私は、クオータ制を否定しません。ただ、個人的には、やはり誰もが納得する人を選ぶというのが原則だと思います。

 では、どうするか。日々、経営者の方々と接していると「チーム力」を重視する人が多いんです。一人の優秀な人間が強烈なリーダーシップを発揮してプロジェクトを引っ張るのではなく、いろいろな知識や経験、技能を持っている人たちを束ねて最大の価値を生み出す。それができるリーダーが必要ということです。

 そうした点において、女性は強みを発揮できます。チームのメンバーの意見をよく聞いて、バランスを取りながらいい結果を生み出す。女性はこうした柔軟なやり方を得意とする人が多い。有能で、しかもいずれリーダーにしたいと考えているなら、早いうちにチャンスを与えるのも1つのやり方です。もちろんその時には、経営者が最大限やりやすい環境、組織を整える必要があります。私も常にそうした意識でマネジメントをしています。

――今、個々の女性に求められていることは何ですか。

吉田 とにかく「言うこと」。「発信すること」です。女性は仕事の状況をきめ細かく見ていることが多い。そして「こうした方がいいのに」「この方が正しいのに」と思っている。ちゃんと観察しているんです。

 けれども、なぜかそれを言わないことが多い。せっかくいい意見を持っているのに、それを発信しないんです。それではだめです。そこは多くの女性が努力しなければならないところでしょう。「きちんと言ってみる」「とりあえずアクションを起こしてみる」「まずは小さくてもいいから始める」ことが大切なんです。

 時代は大きく変化しています。難しい世の中でもある。誰もが迷っています。だから新しい視点や手法を求めている。もし何か意見を言っても、それが頭から否定されることは少ない。きっとポジティブに受け止められるはずです。それこそがダイバーシティというものです。

 もちろん企業によってそうした社風でないこともあるでしょう。でも、まずは思い切って言ってみる。そこから物事は始まるのですからね。PwCグループには「Speak Up」という文化があります。ポジションや経験年数などにとらわれることなく、誰でもいいから発言し、それを共有することでチームとしての正しいことを判断するのです。私も、いつも自社のメンバーに「ちゃんと自分の考えを出そうよ。言おうよ、やろうよ」と言っています。

「多くの女性に努力してもらいたいことは、きちんと言ってみること、発信することです」(吉田氏)
「多くの女性に努力してもらいたいことは、きちんと言ってみること、発信することです」(吉田氏)