2022年12月9日に行われた「ジェンダーギャップ会議」において、「ダイバーシティを変革のドライバーに~『生きる』を創るリーディングカンパニーへ~」と題し、アフラック生命保険 代表取締役社長の古出眞敏さんに話を聞きました。日経xwoman客員研究員・羽生祥子が聞き手を務めました。

女性活躍推進で始めた取り組みが、風土変革やイノベーション創出に派生

アフラック生命保険 代表取締役社長の古出眞敏さん
アフラック生命保険 代表取締役社長の古出眞敏さん

日経xwoman客員研究員 羽生祥子(以下、羽生) 本日はアフラックの様々な歩みと、挑戦を止めない取り組みについて伺います。社内においてダイバーシティ推進の取り組みに関するトップの発信を重視しているのですね。

アフラック生命保険 代表取締役社長 古出眞敏さん(以下、古出) ダイバーシティ推進で最も重要なのはトップのコミットメントだと思っています。当社が2014年に策定した「女性の活躍推進プログラム」の筆頭にも経営トップのコミットメントを掲げ、事あるごとにダイバーシティの重要性と会社の意思を社員に伝えてきました。社員は、会社が何かやろうというときに、会社側の本気度をじっと見ているものです。それが一番分かるのが、トップの姿勢だと思います。

羽生 本気度を伝える際に意識していることは何ですか?

古出 「なぜダイバーシティを推進するか」という目的をしっかりと伝えることです。ダイバーシティはそれ自体が目的ではなく、多様な人財が活躍できる企業文化を醸成し、会社を変革することによって、変化の激しい時代の中で新しい価値を創造して成長していくためのもの。米国の持ち株会社も含めた経営戦略であると理解してもらうため、15年から「Aflac Global Diversity Conference」という社内イベントを開催しています。

羽生 トップのコミットメントの下、人を育てる仕組みもあるそうですね。

古出 その1つが役員によるメンタリングです。社員と役員が1on1のメンタリングを行うもので、22年は26人の役員がメンターを務めました。メンターの役員は、社内のイントラネットに顔写真と名前、プロフィールが掲載されます。社員はそれを見ながらメンタリングを受けたいという希望を出し、会社がマッチングします。メンタリングの対象は、課長層とその1つ手前の層の社員です。

羽生 古出さん自身もメンターになるのですか?

古出 はい。22年は男女1人ずつ、計2人の社員のメンタリングを行っています。メンタリングの主な目的は「社員の育成」です。メンターからのアドバイスを受けながら、キャリアプランを考える際の参考にしてもらいます。一方で、社員一人ひとりと向き合う場となり、役員にとっても人間力を試され、よい学びの機会になっています。

 この役員によるメンタリングは、14年の女性の活躍推進プログラム開始時から始まりました。当初の対象は女性社員のみでしたが、人財育成や社員のモチベーション向上に効果的であることが分かったため、20年からは対象を男性社員にも広げました。女性活躍推進の取り組みとして始めたことが、全社に広がり、会社全体の風土を変化させている事例です。