メンタリングで、8~9割の女性が「リーダーになる」

久保田 日東電工では女性のリーダー育成に力を入れているそうですね。

大脇 女性リーダーは経営幹部、実際にものづくりをする事業部、人財本部が三位一体となって育成しています。

 育成プログラムの中身そのものも重要です。女性の中には「私はリーダータイプではない」「責任ある仕事は向いていない」と思ってしまう人もいますので、そうした意識を変えてもらうために「FLOWERプログラム(Female Leaders OWnership EmpoweRment programの略)」を進めています。先輩の女性リーダーたちがメンターを務めることで、後輩女性たちに「自分にもリーダーができるのではないか」と身近に感じてもらうのが狙いです。

 そのほか、女性のマネジメント育成、コーチングも進めています。プログラムの参加者からは「さまざまなリーダー像があると知って価値観が変化した」「自分のキャリアやリーダー像を見つめ直す機会になった」という声も上がっていますし、約8割の参加者が昇進を「前向きに捉えている」という数字も出ています

「22年から独自の女性リーダー育成プログラムを開始。約8割の参加者が昇進を前向きに捉えています」(大脇さん)
「22年から独自の女性リーダー育成プログラムを開始。約8割の参加者が昇進を前向きに捉えています」(大脇さん)

久保田 8割は驚きです。これはもうやらないと損ですよね。エリクソンでも女性リーダー育成にはグローバルで力を入れているそうですね。

オルシニ 180カ国で共通の女性リーダー育成のための「ALTitudeプログラム」を実施しています。約10カ月のプログラムで、約50時間は座学のクラス。宿題も出ますし、いろいろな演習もしなくてはいけません。さらにコーチング、メンターシップも重視しています。

 女性により高いレベルで仕事をしてもらうためには、社会・組織・個人という3つのバリアを取り去る必要がありますが、まずは個人と組織のバリアを取り払おうというのが、このプログラムです。今までに524人が参加し、19年にプログラムを始めてからの離職者は2.7%。参加者の90%はとても満足していて、次のリーダーになるという気持ちが生まれています。「職場での影響力を高められた」という人が82%もいました。やはりリーダーとともに仕事をする、コーチングやメンターシップを受けるというのは、とても大事です

「女性により高いレベルで仕事をしてもらうためには、社会・組織・個人という3つのバリアを取り去る必要があります」(オルシニさん)
「女性により高いレベルで仕事をしてもらうためには、社会・組織・個人という3つのバリアを取り去る必要があります」(オルシニさん)