女性もフォークリフト操作、男性も美容施術

久保田 金さん、御社では女性管理職比率が76.9%と驚くべき数字ですが、一般的に「女性は管理職への昇進を遠慮してしまう」という声も聞きます。御社の女性たちが管理職を目指したくなる理由は何でしょうか。

 女性社員がもともと多く、活躍している女性が誕生しているのが大きいと思います。女性が管理職になれない大きな要因として、出産や育児との両立の課題があります。弊社はフレックスタイム制度を取り入れて、保育園のお迎えに間に合うようにしています。

 また、性別によって職種を分けることはしません。社内の物流センターには女性がいますし、女性がフォークリフトの免許も取得しています。男性も営業として美容の知識を持ち、お客様に施術することもあります。個々の性格の違いはあっても性別による違いはない、男女平等という雰囲気が社内にあります

「性別によって職種を分けることはしません。女性もフォークリフトを操作しますし、男性も営業としてお客様に美容の施術をすることがあります」(金さん)
「性別によって職種を分けることはしません。女性もフォークリフトを操作しますし、男性も営業としてお客様に美容の施術をすることがあります」(金さん)

久保田 エリクソン・ジャパンでは女性の採用比率が高まり、新卒社員の4割ほどを女性が占めているそうですね。比率が高まった理由は何ですか。

オルシニ 私たちは社員に求めるスキルや能力を「女性だから」という理由で緩めてはいません。ただ、ジェンダー平等に関しては介入する必要性があります。

 会社にはエンジニア以外の職種の人もたくさんいます。バックオフィス業務や顧客とやり取りをする人は理系でなくてもいいですし、文系卒だったとしても学習意欲がある人たちにはトレーニングを行います。実際に電気通信の技術を持っておらずアシスタント職として採用された女性が、異動してセールスのシニアマネージャーとして活躍している例もあります。

 ですので、まずは能力で採用し、できるところで活躍してもらう。「テクノロジーの会社だから女性を雇えない」といった言い訳を自らに課さないことが重要です

久保田 いろいろな職域に女性が増えていくことが大事です。日東電工では製造現場で女性が働きやすい環境づくりを進めているそうですね。

大脇 はい。我々は化学メーカーとしてDE&I、それ以上にESGの観点から、ものづくりに取り組んでいます。例えば粘着テープをつくるときに使う有機溶剤は、働く人にも環境にも負荷がかかってしまう。そこで有機溶剤を使わない、環境に優しい製品をつくろうと取り組みました。使う人にも、つくる人にも優しい製品づくりを目指すことで、製造現場で女性など多様な人材の活躍の場が開けるのではないかと考えています

 また、愛知県豊橋市の工場では女性の意見を取り入れ、明るく、窓が大きく、清潔感のある製造ラインをつくりました。もう間もなく運転開始するというところまで来ています。

久保田 23年度には20人の新卒女性が製造部署に入社予定だそうですね。

大脇 はい。こうした女性たちが、また新しい女性たちを呼び込んでくれるのではないかと期待しています。


 後編(近日公開予定)に続きます。

構成/三浦香代子