多様性あるチームでプロジェクトが成功

久保田 多様な国籍の従業員の力をより生かすために、どういった取り組みが必要だとオルシニさんは考えていますか。

オルシニ 1つ、私の経験を皆さんにお話ししましょう。私が日本に来たとき、クライアントから大きな契約をいただき、エリクソンだけではなく、他のベンダー(販売業者)と一緒になって、ネットワークの最適化を図ろうとしました。いろんな国籍の人が一緒になったプロジェクトでしたが、本当に大変でした。期限には遅れる、成果物は出ない、お客様も私たちに対して失望し、その契約を解消されてしまいそうになったんです。

 でも、私たちはプロジェクトの中で「使える資産を活用しよう」、つまり「多様性を活用しよう」と考えました。例えば、物事を単純化したがる社員と、細かいことが得意な社員の個性を混ぜ合わせて、うまく働かせました。また、コーディング(プログラミング)が得意な社員がソフトウエアを自動化して、手作業をなるべく少なくしました。

 すると、バラバラの国籍だった人たちがチームスピリットを持てるようになり、個性の違いを生かしたことでプロジェクトは大成功となりました。このように言葉や人種が多様なチームで大成功したので、性別においても同じことがいえると思います

「バラバラの国籍だった人たちがチームスピリットを持てるようになり、個性の違いを生かしたことでプロジェクトは大成功した。性別でも同じことがいえる」(オルシニさん)
「バラバラの国籍だった人たちがチームスピリットを持てるようになり、個性の違いを生かしたことでプロジェクトは大成功した。性別でも同じことがいえる」(オルシニさん)

久保田 まさに多様性を生かしたエピソードですね。日東電工も売り上げの約8割を海外が占めているとのことですが、ダイバーシティの取り組みはどうしていますか。

大脇 サプライチェーン(供給網)が一国では収まらず、例えばマーケティングはアメリカで、デザインは日本で、ものづくりは中国で行い、製品はまた別の国に届ける……といった具合です。単に日本から海外に行くだけではなく、海外から海外への異動も積極的に行っています。例えば韓国からベトナム、トルコからチェコ、そこからドイツといった、国をまたいだ異動も頻繁に行い、それによってお互いを知る。やはり相互理解が多様性を進めていく上での一番の根幹だと思っています