2022年12月9日の「ジェンダーギャップ会議」では、「ものづくりの成長における女性リーダー育成とダイバーシティ」と題したパネルディスカッションを開催。ARTISTIC&CO.GLOBAL(アーティスティック&シーオー グローバル)代表取締役の金 松月さん、エリクソン・ジャパン代表取締役社長のルカ・オルシニさん、日東電工 専務執行役員 人財本部長の大脇泰人さんをパネリストに迎え、日経xwoman副編集長・久保田智美がファシリテーターを務めました。後編の今回は、女性の働きやすさを向上させるコミュニティ作りや、地域からの女性の流出を食い止めるために必要な取り組みについて聞きました。
(上)女性社員の昇進意欲はこう高める 3社のリーダー育成術
(下)製造業における女性活躍「できない理由を探さないで」 ←今回はココ
日経xwoman副編集長 久保田智美(以下、久保田) 女性社員の働きやすさを向上させる取り組みとして増えているのが、「女性社員同士のコミュニティづくり」です。エリクソン・ジャパンでも女性コミュニティがスタートしたそうですね。
エリクソン・ジャパン代表取締役社長 ルカ・オルシニさん(以下、オルシニ) はい。Ericssonの語源はスウェーデン語で「エリックの息子」という意味ですが、この女性向けコミュニティはEricsdotter(エリックの娘)と名付けられています。もともと1993年にスウェーデンで誕生し、日本でも22年4月に始まりました。グローバルコミュニティとしてお互いに連絡を取り合い、セミナーやメンターシッププログラムも行われています。
重要なのは知識の共有です。社内で成功した人、重要な仕事をしている人だけでなく、D&Iの分野で有名な社外の人を呼ぶなど、いろいろなセッションを行っています。イケア・ジャパンの元CEOを招き、同社がジェンダーバランス50:50を達成した話も聞きました。今は女性が集まれる仕組みが求められていますが、いずれはこうしたコミュニティも必要なくなるのかもしれません。
久保田 日東電工でも事業所を横断する形で、女性たちの交流会があるそうですね。
日東電工 専務執行役員 人財本部長 大脇泰人さん(以下、大脇) 我々は国内の各工場や営業拠点を巻き込んだ「くるま座」と題した交流会を実施しています。少人数の話しやすい雰囲気で、膝をつき合わせて話をするというものです。
もともと社長のフットワークが非常に軽く、月に1回「移動社長室」という形で工場に出向いていましたが、せっかくだからDE&Iのディスカッションを社長と行おうよ、という趣旨で始まりました。最初は三重県の亀山工場に、各事業所からキーパーソンを集めて行いました。今では日本全国の拠点メンバーがネットワークをつくり、DE&Iについて「これはいい」「私たちもやろう」「相談に乗ってよ」といった情報共有をしています。
久保田 DE&Iというと、「本社がやっている」「人事がやっている」となりがちですが、全国の事業所が同じ目線、同じ速度で進んでいくのは、会社全体が変わる上で重要ですね。