2021年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、取締役や中核人材における「多様性確保」に注目が集まっています。ダイバーシティを巡る世界の潮流について、世界銀行グループ・多数国間投資保証機関(MIGA)の長官を務め、現在は米国コロンビア大学客員教授としてESG投資について教える本田桂子さんに聞きました。前編の今回は、「企業がダイバーシティに取り組むべき理由」について、人口構造の観点から解説してもらいます。

(前編)人口減社会「中高年男性」に代わる多様なリーダー育成を  ←今回はココ
(後編)企業の今後を占う「管理職と新卒」の女性比率

無視できない「人口減少」というファクター

日経xwoman編集部(以下、――) ダイバーシティの必要性について、欧米諸国ではどのように理解されていますか。

コロンビア大学客員教授 本田桂子さん(以下、本田) ダイバーシティへの考え方や取り組みが最も進んでいるのは欧州です。彼らが取り組んでいる理由は主に2つあり、1つは、「平等性を確保する」という人権上の問題。もう1つは、多様性を確保しなければ議論に偏りが生まれてしまうという危機感です。政治や企業の意思決定層に、性別、人種、年齢を問わず多様な人材が入ったほうが議論に取りこぼしがなく、よりよい判断ができるという考え方が広まっています。オーストラリア、ニュージーランド、カナダも欧州型と言えるでしょう。

 米国においては、Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)を掲げる黒人差別反対運動の影響もあり、人種などの観点から広くマイノリティーに光が当たるようになってきました。

―― 平等性という「人権上の観点」と、判断の精度を高めるという「経営上の観点」の2つがあるのですね。

本田 はい。加えて、もう1つ忘れてはならない要素があります。「人口減少」です。