世界200以上の国・地域でビジネスを展開するザ コカ・コーラ カンパニー。その一員である日本コカ・コーラを率いるホルヘ・ガルドゥニョ代表取締役社長は、「愛されるブランドのポートフォリオ」をつくるためには「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進する必要があると話す。なかでも「ジェンダー」は優先事項の1つとして掲げ、2025年には女性管理職の比率を50%に引き上げるという。こうした取り組みの背景にはどんなビジョンがあり、具体的な施策として何を実施しているのか。また、女性活躍推進によって会社がどう変わり、そのアウトプットとしての製品にどんな影響が出るのかについても、詳しく語ってもらった。(聞き手は日経BP ライフメディアユニット長・南浦淳之)。

「多様性を受け入れる職場環境は、素晴らしい創造性と革新性、地域社会とのつながりを育むベースになる」(ホルヘ社長)
「多様性を受け入れる職場環境は、素晴らしい創造性と革新性、地域社会とのつながりを育むベースになる」(ホルヘ社長)

ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みはDNAの一部

―― ザ コカ・コーラ カンパニー(以下、コカ・コーラ社)がグローバルで「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I、多様性とその受容)」を推進する理由を教えてください。

ホルヘ・ガルドゥニョ氏(以下、ホルヘ) 飲料会社であるコカ・コーラ社のミッションは、「世界中をうるおし、さわやかさを提供すること。前向きな変化をもたらすこと。」です。そして、多様な顧客ニーズから需要を捉え、成長するビジネスを創造していかなければなりません。

 コカ・コーラ社には「愛されるブランドのポートフォリオを持つ」「サステナブルな未来に対して、そうしたブランドを提供する」という目標があります。その目標を達成するためには、私たちがビジネスを展開するコミュニティーに存在する多様性をブランドに反映させなければなりません。つまり、私たちが「愛されるブランドのポートフォリオ」をつくるのなら、そのコミュニティーにおける多様な人に受容されるものでなければならないと考えています。

 さらに多様性を受け入れる職場環境も、素晴らしい創造性と革新性、地域社会とのつながりを育むベースになります。ダイバーシティ&インクルージョンへの取り組みは経営戦略における優先事項のひとつと位置付けていますが、それは私たちコカ・コーラ社のDNAの一部であるとも言えます。

―― ホルヘ社長はヨーロッパ、アジア、南米など世界各地で幅広く事業を経験されています。日本コカ・コーラの女性活用・女性活躍をどう評価されていますか。

ホルヘ 日本コカ・コーラの社員の女性比率は42.2%(2020年12月時点)です。女性管理職の比率は、日本と韓国の合算で35.7%(同3月時点)。2019年12月の30.7%よりは改善されています。グローバルでは2030年までに女性管理職比率50%を目指していますが、日本コカ・コーラは2025年までにそれを達成したいと考えています。