女性管理職比率50%の目標は達成可能だ

―― 日本コカ・コーラのサステナビリティに関する課題として、ダイバーシティ&インクルージョンの優先事項に「ジェンダー」「年齢/世代」を掲げた理由は?

ホルヘ ダイバーシティ&インクルージョンは、コカ・コーラ社のコアバリューです。すでに申し上げましたが、市場が多様性に満ちているため、職場もサービスを提供する市場を反映していなければなりません。多様性のある職場環境づくりは今後のコカ・コーラ社の成長に欠かせないものです。

 ダイバーシティ&インクルージョンの中で女性の活躍推進、若年層の採用強化や育成促進はコカ・コーラ社の重要な経営戦略のひとつと考えています。しかし、これら以外にも「地域社会」や「資源」についても重要だと考え、合計で9つの重点課題を挙げ、そのうち5つの優先事項(容器/PET、水など)を定めています。

―― 先ほど、グローバルで2030年までに女性管理職比率50%、日本コカ・コーラでは2025年までにそれを達成したいとのお話でした。高い目標のように感じられますが。

ホルヘ 私は日本コカ・コーラで2025年までに女性管理職比率50%達成は実現できると思っています。しかし、50%という目標を達成するためだけに、まだ準備が整っていない人を登用するのではありません。目指すべきは、女性が成長するための支援を行うことです。チャンスがあっても、家事や育児をこなさなければいけないなど生活上難しい場合もあります。そうしたところにも目を向けながら女性たちをサポートしていけば、私は十分に達成できると思っています。

 私たちのオペレーティングユニットには韓国も含まれていますが、韓国では女性管理職比率50%を達成しています。そうしたことも考え合わせると、日本でも達成可能だと思っています。

「女性管理職比率50%を達成するために目指すべきは、女性が成長するための支援を行うことです」(ホルヘ社長)
「女性管理職比率50%を達成するために目指すべきは、女性が成長するための支援を行うことです」(ホルヘ社長)

社内外で女性のキャリア開発とその環境づくりを支援

―― 日本コカ・コーラでは、女性の活躍推進のための能力開発、リーダーシップ人材の育成、働きがいのある環境づくりについて、具体的にはどんな取り組みをされていますか。

ホルヘ 女性活躍において、大きく2つの方向性があります。女性従業員のキャリア開発と、それを支える環境の整備です。キャリア開発については、リーダーシップ・プログラム、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修、コカ・コーラ ボトラーズジャパンと共同で女性同士のネットワーキングの促進を行う「Coke in Circle (コークインサークル)」などが挙げられます。

 一方、環境の整備に関しては、リモートワークやフレックスタイムの導入で働きやすい環境づくりを進めています。また男性の育児休暇取得率についても、中長期目標として2030年までに100%を目指します。2019年の実績は55.6%です。

 さらに社外での取り組みとして、女性活躍支援プロジェクト「5by20(ファイブ バイ トゥウェンティ)」があります。2020年までに世界で500万人の女性を支援するという目標を掲げ、日本ではお茶や酪農などの生産に携わる女性を対象とした研修会などを開催してきました。このプロジェクトでは目標を上回り、600万人を支援することができました。ほかに米コカ・コーラ財団は、シングルマザーを支援するため、貧困状態にある人たちに低利・無担保で少額融資するグラミン日本に対し、約15万ドル(約1540万円)を寄付しています。