同性パートナーにも就業規則で同じ権利を認めている
―― 障がい者支援、LGBTQ(性的少数者)、グローバル・ダイバーシティなどにも取り組んでいますね。
ホルヘ 日本には「雪だるま式」という言葉がありますが、ダイバーシティ&インクルージョンについても、勢いがつくとどんどん膨らんで良い効果を上げていくということがあります。社外に向けた試みだけでなく、社外でもさまざまな活動を行って結果を出してきました。
コカ・コーラ社はグローバル企業として、また飲料のリーディングカンパニーとして、社会への責任があります。たいぶ以前の話になりますが、1934年、大企業で初めて取締役に女性を登用したのはコカ・コーラ社でした。また米国で真っ先に「雇用差別禁止法」に対する賛同を公に表明した企業のひとつでもありました。
障がい者支援やLGBTQへの理解もサステナビリティ戦略において重要課題として捉えています。障がい者支援では、2021年1月に障がい者の活躍推進に取り組むイニシアチブ「The Valuable 500」に加盟しました。社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会は40年にわたってサポートし続けています。
LGBTQに関しては、日本コカ・コーラでは多様性のある社員の状況を鑑みて、就業規則で法的婚姻関係にあるパートナー以外の同性パートナーも同じく配偶者として取り扱い、慶弔休暇・育児休暇などを取得できるようにしています。この取り組みは今年、日本のコカ・コーラシステム(注:原液の供給と製品の企画開発やマーケティング活動を行う日本コカ・コーラと、製品の製造・販売などを担う5つのボトラー会社および関連会社の総称)全体で推進していく予定です。
―― そうした支援を行うことで、社員が自分の能力を発揮し、企業力もアップするとお考えですか。
ホルヘ 私たちはグローバルに愛されるブランドの構築を目指しています。それにより、共に素晴らしい未来をつくっていきたいと考えています。そのためにはさまざまなバックグラウンドや価値観を持つ人材を確保することが重要です。愛されるブランドを作るためにはダイバーシティのない企業では実現できません。ダイバーシティは私たちの根幹であり、DNAの一部なのです。
コカ・コーラ社のグローバルのトップを見ますと、国籍もジェンダーもバックグラウンドもそれぞれ違います。私はメキシコ出身で、コロンビア、チリ、スペイン、日本、韓国などで働く機会を与えられました。ボトラー会社の取締役としてオーストラリア、ニュージーランド、インドネシアなど名を連ねています。世界的にフレッシュなアイデアを取り込んでいくということを重視しており、それは今後も推進していきます。
コカ・コーラ社は世界208の国・地域でビジネスを展開しております。ある国へビジネスで参入できるかもしれませんが、そこで成功し、生き残っていくのはとても難しいことです。それを実現するにはコミュニティーとつながり、絆を深め、その場所の独自ニーズに応えていかなければなりません。