投資をしなくても、男女チームにすれば経済的価値は1.5倍以上になる

―― 科学分野について、渡辺さんからお話をいただけますか。

渡辺 昭和時代の成功体験からなかなか抜けられない日本はどうしたらいいかというと、ひとつは科学的なデータに基づいて現状を把握し、みんなで共有していくことが変える力になると考えています。

 日本政策投資銀行の餅友佳里さんという方が三菱総合研究所と協力して、日本の特許100万件以上をもとに、男性だけが書いた特許と男女チームが書いた特許で経済的価値がどれくらい違うかを様々な分野で調べた結果があります。これは素晴らしいデータで、日本の誇るべきデータだと思っています。

餅友佳里 (日本政策投資銀行)「女性の活躍は企業パフォーマンスを向上させる~特許からみたダイバーシティの経済価値への貢献度」から
餅友佳里 (日本政策投資銀行)「女性の活躍は企業パフォーマンスを向上させる~特許からみたダイバーシティの経済価値への貢献度」から

 全体で見ると、男女チームの経済的価値のほうが2016年調査で44%も高くなり、2018年では54%も高いという結果になりました。通常は経済的価値を高めるならそれだけ投資をしましょうという話になりますが、投資を増やさなくても、男性だけのチームを男女のチームにしただけで50%以上も経済的価値が上がるのです。こういう事実をぜひ皆さんと共有したいと思います。

―― 竹延さん、いかがですか。

竹延 建設アシストの採用は結果的に女性が8割になっています。そうするとデジタルを導入しなくても生産性が1.5倍に伸びていたんですね。偶然、同じ数字です。うちの会社だけでなく、社会全体がそうなんですね。

―― 渡辺さんが行っている取り組みについてもご紹介ください。

渡辺 理学・工学分野に女性が少ないということに対する取り組みになりますが、JSTでは「輝く女性研究者賞(ジュン アシダ賞)」を3年前に立ち上げました。原則40歳未満の若手女性研究者を対象としています。すごく優秀な女性が応募してくれまして、2021年の第3回は数理科学、生命科学/放射線科学、生物有機化学の3人が表彰されました。

 さらに30代前半ぐらいを対象にして、ポーランド大使館と一緒に「羽ばたく女性研究者賞(マリア・スクウォドフスカ=キュリー賞)」を立ち上げました。現在選考しているところで5月に表彰式を行います。正直、びっくりするほど優秀な女性たちが応募してくれて、こんな優秀な女性たちが日本にいたのかと驚くほどです。

 日本には優秀な女性がいるんです。でも、私も知らないし、優秀な女性に目を向けてこなかったということがよくわかりました。ですから、積極的に探し、見るということが必要なのではないかと思います。