2021年12月10日に開催されたイベント「ジェンダーギャップ会議」。パネルディスカッション「グローバル企業のダイバーシティ責任者2人が登場! 会社を変える覚悟と秘策、その舞台裏」では、三菱ケミカル 取締役 常務執行役員 中田るみ子さんと、PwC Japanグループ ダイバーシティリーダー 梅木典子さんを迎え、ダイバーシティ推進への取り組みや、責任者としての本音などを語り合いました。コーディネーターは日経xwoman編集委員 羽生祥子が務めました。※登壇者の肩書は開催当時のものです。

「内なる多様性」を引き出して生き生きと働くために

写真右から、PwC Japanグループ ダイバーシティリーダー 梅木典子さん、三菱ケミカル 取締役 常務執行役員 中田るみ子さん、日経xwoman編集委員 羽生祥子
写真右から、PwC Japanグループ ダイバーシティリーダー 梅木典子さん、三菱ケミカル 取締役 常務執行役員 中田るみ子さん、日経xwoman編集委員 羽生祥子

日経xwoman編集委員 羽生祥子(以下、羽生) グローバル企業2社からゲストを迎え、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みや舞台裏について、本音で語っていただきます。まずは、三菱ケミカルの中田さんからお願いします。

三菱ケミカル 取締役 常務執行役員 中田るみ子さん(以下、中田) 2018年にダイバーシティ推進担当執行役員として三菱ケミカルに入社しました。私がダイバーシティという言葉に出合ったのは、2000年に製薬会社で働き始めた頃です。以来、約20年間にわたり、さまざまな形でダイバーシティの推進に関わってきました。

 三菱ケミカルは、2017年に三菱化学と三菱樹脂、三菱レイヨンの3社統合により発足した総合化学メーカーです。弊社では、多様な人材が生き生きと働くことのできる職場づくりに取り組んでおり、実現のための施策をまとめた「三菱ケミカルは決めました」という30の宣言を発信しています。

羽生 ユニークなネーミングですね。どういった経緯で生まれたのでしょうか?

中田 入社後、まずは現場の声を聞こうと全拠点を回り、600~800人ほどの社員と対話を行った中で、2つのことに気づきました。ひとつは、社員が真面目で優秀だということ。もうひとつが、2017年の統合時に先進的な制度を導入しているのに、それが現場に浸透していないということでした。そこで、会社が目指す方向や制度を知ってもらうために、会社として実現したい「あるべき姿」を30の宣言としてまとめたというわけです。

「現場の声を聞こうと全拠点を回り、600~800人ほどの社員と対話を行った」(中田さん)
「現場の声を聞こうと全拠点を回り、600~800人ほどの社員と対話を行った」(中田さん)

羽生 「三菱ケミカルは決めました」宣言は、社内に向けた取り組みだったのですね。宣言の19で人材の多様性に触れています。

中田 当社では、価値観の違いなどの「内なる多様性」も非常に大事だと思っています。性別や国籍、年齢といった属性による多様性を生かすための取り組みを重ねていくことで、一人ひとりの「内なる多様性」を引き出すことが、私たちの考えるダイバーシティです。色々な分野で多様な人たちが生き生きと活躍することにより、新しいアイデアやイノベーションを育んでいきたい。その実現に向け、まずは「女性」の課題を抽出しました。