男性自身も「マルチタスク」ができる管理職に

梅木 男性の育休取得を奨励しており、取得率100%を目指しています。現在の取得率は61%で、平均取得日数は3週間以上です。男性側も育児に「参加」するのではなく、主たる担い手として貢献してきてほしい。これは育児休業ではなく、育児プロジェクトだからと伝えて、休みに入ってもらうようにしています。

羽生 休みではなく、プロジェクトだと。

梅木 家事や育児の大変さを身をもって知ることができますし、男性自身もマルチタスクがこなせるようになり、時間を効率的に使えるようになります。男性が家庭のために使う時間をもっと増やせば、男女の働く時間も平準化していくのではないでしょうか。

 職場への効果も大きいと思っています。育児や介護など制約を抱えた人たちは、この先ますます増えていくでしょう。そうしたときに、自らの経験を生かし、必要なケアや言葉がけをしてあげられる管理職が必要になっていくと思うのです。

羽生 男性の育休取得を促すために、どのような取り組みをしていますか?

梅木 トップの強いメッセージを継続して発信するほか、コアタイムなしフレックス制度、ベビーシッター費用補助などの人事制度を整えています。また、育休に入る前には、育児のタスクや役割分担、時間の使い方など実務的な内容をまとめた「パパ育休ガイドブック」を配布して、配偶者・パートナーの方とよく相談してほしいと伝えています。さらに、復帰した男性社員が自分の経験を共有する「インクルージョンカフェ」という社内セミナーも行っていて、人気のセッションになっています。

選ばれる会社になるために、人事改革を実施

羽生 働き方改革という点において、三菱ケミカルでは、特に人事の分野で踏み込んだ改革をされているそうですね。

中田 2つの問題意識がありました。1つは、労働力人口の減少や市場環境の変化、グローバル競争の激化といった中で、従来の考え方やビジネスモデルを変えないといけない。もう1つは、人材が流動化し、1つの会社で定年まで勤め上げるというモデルはもはや成立しないということです。

 選んでもらえる会社になるには、さまざまなニーズをくみ上げ、それに対応した制度をつくっていく必要があると考え、「主体的なキャリア形成」「透明性のある処遇・報酬」「多様性への促進と支援」の3つを柱に改革を進めてきました。2つめの「透明性のある処遇・報酬」は、年齢や性別、勤続年数ではなく、役割や成果によって報酬が決まるということです。