2021年12月10日に開催されたイベント「ジェンダーギャップ会議」。パネルディスカッション「グローバル企業のダイバーシティ責任者2人が登場! 会社を変える覚悟と秘策、その舞台裏」では、三菱ケミカル 取締役 常務執行役員 中田るみ子さんと、PwC Japanグループ ダイバーシティリーダー 梅木典子さんが登壇。ダイバーシティ(多様性)を推進するにあたっての「壁」の乗り越え方や、人材獲得のための働き方改革などについて語り合いました。コーディネーターは日経xwoman編集委員 羽生祥子が務めました。※登壇者の肩書は開催当時のものです。

継続的なawarenessの向上(啓発活動)が必要

写真右から、PwC Japanグループ ダイバーシティリーダー 梅木典子さん、三菱ケミカル 取締役 常務執行役員 中田るみ子さん、日経xwoman編集委員 羽生祥子
写真右から、PwC Japanグループ ダイバーシティリーダー 梅木典子さん、三菱ケミカル 取締役 常務執行役員 中田るみ子さん、日経xwoman編集委員 羽生祥子

日経xwoman編集委員 羽生祥子(以下、羽生) これまで取り組みを進める中で、壁にぶつかった経験や大変だったことはありましたか?

PwC Japanグループ ダイバーシティリーダー 梅木典子さん(以下、梅木) やはり新しいことを浸透させるのは簡単ではありません。説明しなくても「あ・うん」の呼吸で通じるのは日本の良い文化ではありますが、ダイバーシティを実践するには、これまでと違う考え方や行動を取っていかなくてはいけません。どうやって行動を変えていくのかという点で、大きなチャレンジだったと思います。

 ただ、活動を長く継続していく中で、企業も変化し、成長していくのだと実感しています。特に今の若い人はすごく柔軟で、ダイバーシティを自分ごととして捉えて実践しているので、草の根的にじわじわと浸透しているのを感じます。

羽生 業績も伸びているそうですね。

梅木 おかげさまでこの5年間で業績は1.7倍くらい伸びており、人員も1.5倍に成長しています。常に新しい人材が企業の中に入ってくるため、継続的なawarenessの向上(啓発活動)が必要です

 ジェンダーダイバーシティの点では、「2030年までのなるべく早い時期に、女性管理職比率30%」を目標値として、取り組んでいるところです。そのためには、女性のリーダーシップ研修が大切です。日本では謙虚な女性が多く、とても優秀なのに、昇進をすすめられても「いえいえ、私なんて無理です、今のままで満足していますから、余計なことを言わないでください」などと答える人もいる。無理にすすめるとパワハラになるのではという心配から、上司も腰が引ける。そこに難しさがあります。