2021年5月10~14日にオンライン開催された日経SDGsフェス。最終日の14日、「日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト ジェンダーギャップ会議」が行われました。会議では2つのパネルディスカッションも行われ、そのうちのひとつ、「アンステレオタイプ・アクションの実践に向けて」について、誌上で詳しく再現します。

左から、日経xwoman編集委員・羽生祥子、内閣府男女共同参画局長・林伴子さん、リンクトイン日本代表・村上臣さん、UN Women 日本事務所長・石川雅恵さん(米国からリモートで参加)
左から、日経xwoman編集委員・羽生祥子、内閣府男女共同参画局長・林伴子さん、リンクトイン日本代表・村上臣さん、UN Women 日本事務所長・石川雅恵さん(米国からリモートで参加)

周回遅れの日本のジェンダー平等、異次元の取り組みが必要

日経xwoman編集委員 羽生祥子(以下、――) アンステレオタイプアクションとは、一体どういうことなんだろうと思われるかもしれません。このキーワードの真ん中にある「ステレオタイプ」という言葉は「固定観念、思い込み」という意味です。ステレオタイプが今、日本の社会や企業に潜むジェンダーギャップ問題の大きな原因になっているのではないか。そう考え、これから社会や地域、企業や家庭で、ステレオタイプでない行動をどのように取っていくかを今回の議題にしたいと思います。

 登壇される3人の皆様から自己紹介を兼ねてウーマンエンパワーメントへの取り組みをご紹介いただきたいと思います。

内閣府男女共同参画局長 林伴子さん(以下、林) 内閣府で主に経済政策分野を30年以上やってきました。16年前に管理職になってからは、経済財政諮問会議などいわゆる官邸主導の業務、そして国際業務に従事してきました。国際会議はダイバーシティに富んでいますが、国内の職場ではいつも紅一点。30年以上、国内のどんな会議に出てもいつも紅一点でした。

 2020年8月に男女共同参画局長になってから、いろんな資料を見てショックを受けたのが世界経済フォーラム(WEF)のジェンダーギャップ指数(男女平等指数)です。2021年版では、日本は“堂々”の120位。先進国の中で最下位はもちろんのこと、韓国、中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)より下です。

日本のジェンダー・ギャップ指数は156カ国中120位。「政治」と「経済」の値が低い(内閣府作成)
日本のジェンダー・ギャップ指数は156カ国中120位。「政治」と「経済」の値が低い(内閣府作成)

 「教育」と「健康」の分野はいいのですが、「経済」と「政治」の分野で女性が参画できていない。つまり、健康で教育水準の高い女性が日本では活躍できていないということです。

 しかも15年前は80位でした。それがズルズルと順位を下げています。これはどういうことかといいますと、女性活躍ということで安倍政権時代に頑張って女性の取締役は増えてきているんですが、諸外国のスピードはもっと速かったということです。周回遅れの日本が諸外国を追い抜くためには3倍速、あるいは異次元の取り組みをしないといけないと思っています。

 「男女の地位の平等感」について内閣府が世論調査をすると、21.2%の人しか「平等」と感じていない。74.1%の人は「男性の方が非常に優遇されている」「どちらかといえば男性の方が優遇されている」と答えています。

男女の地位が「平等」と答えたのは、21.2%にとどまる(内閣府作成)
男女の地位が「平等」と答えたのは、21.2%にとどまる(内閣府作成)

 こうした状況を変えたいということで、「第5次男女共同参画基本計画」で58の女性登用目標を作りました。また選択的夫婦別姓を含む「夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方」について自民党で大議論をしてもらいました。そして、具体的な制度についてもっと議論しようということになりました。

 他方で、コロナ禍で女性が大変厳しい状況にあります。いろいろなデータを分析してみますと、平時からのジェンダー平等が進んでいなかったことがこの深刻な問題の背景にあることが分かってきました。

 ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)をセットにしてやらないとダメというのが私の考えです。

 男女共同参画が進んでいないところの共通点は、グローバルな競争がない、あるいは少ないことです。霞が関、永田町は日本国籍を持っていることが前提の場所です。それから日本語の壁で守られているところ、たとえば教育やマスコミですね。ダイバーシティを進める上でグローバルなプレッシャーがない。しかし、社会全体への影響は大きい。ダイバーシティ&インクルージョンを解決していくためにはいろんなことをやらなくちゃいけません。

 特にアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)。これを是正することが大切だと私は考えています。

「ダイバーシティ&インクルージョンを解決していくためにはいろんなことをやらなくちゃいけません。特にアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)。これを是正することが大切だと私は考えています」(内閣府男女共同参画局長・林伴子さん)
「ダイバーシティ&インクルージョンを解決していくためにはいろんなことをやらなくちゃいけません。特にアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)。これを是正することが大切だと私は考えています」(内閣府男女共同参画局長・林伴子さん)