「一緒に変化や変革を起こしていきませんか」

―― 女性比率、女性管理職比率、女性役員比率の現状と目標について教えてください。

石山 SAPジャパンの現状は、女性比率が29.2%、女性管理職比率が16.3%です(2021年5月末現在)。目標は、アジア太平洋日本地域(APJ)として2021年中に女性比率32%、女性管理職比率27%となっています。アジア太平洋日本地域は、インド・東南アジア諸国・日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランドから構成されています。

 6月にAPJの会議があり、重要ポジションの後継者、女性、若手、SAPの変化をけん引してくれるカタリスト(触媒となる人材)について議論しました。後継候補者の中に女性と若手を確実に入れ、どうやって育成していくか、具体的な計画を立てないと目標達成には近づきません。

 それから、SAPがより魅力的に映るための企業イメージの強化が必要と考えています。テクノロジー企業で男性中心、BtoBの会社というイメージがあるかもしれません。社外にあまり知られていませんが、男女を問わず社員一人ひとりが自分の人生の目的と自分の仕事をどのようにつなげていくのかを社員が考える機会を折々に提供しており、長期的に取り組める意義ある仕事が多く存在もします。このようなことを特に女性の方々にもっとアピールしていきたいと考えています。

 私たちの価値を提供しているのは企業であり、社会です。ビジネスモデルを変えてみたい、社会を変えてみたい。そんな気持ちがあれば、ドアはいつでも開いています。テクノロジーのことは後から学べますし、その道の専門家が一緒に仕事をしてくれます。

 SAPはグローバルマネジメントが実現できている会社です。SAPジャパンは日本の企業として独自に存在するわけではなく、グローバルの影響を受けながら大きく変化しようとしています。その中に飛び込んで、一緒に変化や変革を起こしていきませんか、新しいものをつくっていきませんか。女性には、そんなメッセージをお伝えしたいと思います。

―― 女性比率を増やすと、ビジネスにどんなメリットがありますか。

石山 新しいバリューを出さなければいけない、変化に対応しなければいけない、コロナ禍で働き方も変わりました――。こうした変化の激しい環境に適応する必要がありますし、適応できれば新しいビジネスチャンスが生まれてきます。いろんなことを議論し、形にしていくには、多様な考えの人がいて、いろいろな意見が出たほうがいい。女性の意見はもちろん、若い人たちの発想、熟練した先輩たちの意見も必要です。日本的な発想だけではガラパゴスになってしまうので、グローバルな発想が必要です。そういう意味で多様性が必要だと考えています。

石山恵里子
SAPジャパン 常務執行役員 人事本部長
石山恵里子 2015年にHRビジネスパートナーとしてSAPジャパンに入社。2021年3月、SAPジャパンの人事本部長に就任。信頼されるリーダーシップ、健全なワークプレイス、そしてダイバーシティ&インクルージョンが、成功する組織に不可欠な要素であると確信し、SAPジャパンの人事戦略の実現に取り組む。また、SAPジャパンが自ら実践する人事領域におけるテクノロジーの活用、デジタルトランスフォーメーションに関与し、その経験を積極的に紹介している。SAPジャパン入社以前は、富士通の人事部門で20年以上の経験を積み、人材育成、後継者プランなどのプロジェクトを通じて、知識創造経営の実践に尽力した。明治学院大学英文学科卒、早稲田大学大学院経営管理研究科修了。

文/長坂邦宏 写真/木村輝