ベストを尽くし、降ってくるものは全部受け止める

―― 外務省の出向から戻り、秘書部に配属されたんですね。

的場 秘書部に配属されてからは渉外を担当しました。経済団体、霞が関、自治体、大学といったところとの対外的な窓口で、いわゆる経営トップの政策秘書のような役割をしていました。それが長いですね。2007年以降、途中で調査・情報部に異動になりましたが、そこも渉外活動をやる部署でしたので、2020年までずっと渉外を担当したことになります。

―― 仕事への取り組み方で意識されてきたのはどんなことですか。

 とにかく目の前にあることは一生懸命やる。ベストを尽くして待つ。ひと言でいうとそういうことになります。自分でキャリアを選んだことはなく、降ってくるものは全部受け止めました

 もともとハードワークはいとわないんですが、ニューヨークへ行ったときにワークライフバランスを意識するようになりました。お客様は婦人服担当の女性が多かったんです。買い付けは女性の方、デザイナーはLGBTの方が多かったという印象ですね。みなさんすごく忙しいといっていた。忙しい理由は夕方の5時か6時にはピタッと仕事をやめて帰っていくからです。それ以降の時間はマイライフとして大切にするのを見て、私もニューヨークの人たちのやり方をまねするようになりました。

 ですので、外務省のときも平均したら7時から8時に帰るようにしていました。

―― そのためには、仕事の効率を上げる必要がありますね。どうしたら仕事を効率的にできるようになりますか。

的場 段取りが大事だと思っています。人を動かさないと刈り取れない仕事ってありますよね。誰かがやってくれないと動かない仕事を早めに出してしまい、それが終わったら、あとは自分が調整すればいい。外務省時代にやっていたのは、相手国との交渉日が決まっていたら、そこから逆算しして、このへんまでにこれを用意していないと7時までに帰れないなと考えることでした。けっこう段取り魔でしたね。

「もともとハードワークはいとわないんですが、ニューヨークへ行ったときにワークライフバランスを意識するようになりました」(的場さん)
「もともとハードワークはいとわないんですが、ニューヨークへ行ったときにワークライフバランスを意識するようになりました」(的場さん)

―― 「ましてや執行役員なんて」という言葉がありましたが、執行役員に就任したのが2019年。なぜ自身が任命されたと思いますか。

的場 事務職から総合職になり、しかもたたき上げっていうのは女性社員のひとつのロールモデルになる、ということなのかなと理解しています。女性の後輩が応援してくれましたし、自分のことのように喜んでくれました。女性の社員が夢や希望を持てるのかな、と。

 女性の執行役員は初めてではありません。ニューヨークの米国法人(伊藤忠インターナショナル)の社長兼CEOの茅野みつるさんが第1号です。彼女は国際法律事務所から中途で入った方です。新卒採用で伊藤忠商事に入社し、執行役員になったのは、私が初めてです。