日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト始動を記念して、2020年5月15日にリモートで開催された日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト「ジェンダーギャップ会議~ジェンダー平等は企業の経営戦略だ~」。「ジェンダーギャップ121位の国からの脱却」と題した本イベントをまとめたリポートをお送りします。カゴメ取締役会長・寺田直行さん、ポーラ代表取締役社長・及川美紀さん、日経BP 日経xwoman総編集長・羽生祥子がパネリストを、進行を日経BP執行役員・高柳正盛が務めました(発言内容や肩書は当時のものです)。

日本はまだ、古くからの雇用や働き方の成功体験を引きずっている

左から、日経BP執行役員・高柳正盛、カゴメ取締役会長・寺田直行さん、ポーラ代表取締役社長・及川美紀さん、日経xwoman総編集長・羽生祥子

日経BP執行役員・高柳正盛(以後、――) 新型コロナウイルスの感染拡大により、世界中が大混乱に陥っています。この状況をどう乗り越えるか、経済の面でも生命の維持の面でも、世界中のリーダーが奮闘しながら難題に取り組んでいます。その中で目立つのが、世界でこの難局をうまく乗り越えている女性リーダーの存在感です。ドイツ、台湾、ニュージーランドのような国々にとどまらず、IMFのような組織でも、女性のリーダーが前面に立っています。

 それに比べて日本ではそこまで女性リーダーの存在が目立っていません。日本でも世界と同じように、女性リーダーが活躍してもよいはずです。2019年の年末に世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数では、日本は121位でした。新型コロナという問題がなくても、日本はこれまで以上にジェンダー平等、女性のエンパワーメントを強化していかなければ、これからの未来が開けていかないということは確実です。

 本日は、カゴメ会長の寺田直行さん、ポーラ社長の及川美紀さんとともに、これからの日本企業のあり方、進むべき方向性、これから具体的にどういう取り組みを行っていけばよいのかというお話を、さまざまな角度から追求していきたいと思います。

 カゴメの寺田さんは社長時代から長らく女性の働き方に注目してきました。2016年の『日経ビジネス』では「男だけでは強くなれない」というタイトルで編集長インタビューにご登場いただきました。2016年の時点で、こうしたテーマに絞り込んだインタビューを受けるトップは、あまりいらっしゃいませんでした。

 及川美紀さんは初めて女性でポーラの社長になった方です。古い男性中心の社会の中で戦い抜き、今の地位にいらっしゃいます。お二人ともジェンダー平等、女性のエンパワーメントに関して、さまざまな戦略を実行して、体験もされてきたトップですので、本日はリアルなお話をうかがえると思います。

 寺田さん、「日本企業には女性の幹部社員が少ない」「意思決定層に女性がいない」と盛んにいわれますが、この状況をどうご覧になっていますか?

「日本は古くからの雇用や働き方の成功体験を引きずってしまっています」(カゴメ会長・寺田さん)

カゴメ取締役会長・寺田直行さん(以後、寺田) 多くの日本企業は、戦後経済成長を遂げた日本型の雇用や働き方の成功体験を引きずってしまっているのだと思います。時代は大きく変わり、さらに厳しい時代に突入しているにもかかわらず、まだ変わり切れていないというのが実態ではないでしょうか。

―― それを変えていくのはやはり大変なのでしょうか。

寺田 会社を変えるには、変えるという強い信念を持たなければいけません。会社の風土そのものを変えていく中に、このダイバーシティやジェンダー平等というテーマは欠かせません。ただ、このテーマだけが単独で歩くというのではなく、いろいろな働き方や収益構造の改革など、全部がつながって会社が変わっていく。それが結果から振り返ってみれば、私どもが歩んできた道だと思います。