男女問わず、社員の働き方の改革を進めてきた

―― 寺田さんはずいぶん早い段階から女性活躍を推進し、経営の方針の一つに掲げてきました。そもそもこのテーマに取り組もうと思われたきっかけは何だったのでしょうか。

寺田 当社にも従来の日本型雇用や働き方の考え方が染みついていました。その主な特徴は「男性中心」「長時間労働」「年功序列」「新卒一括採用」「終身雇用」です。さすがに今は年功序列はかなり崩れてはきていますが、会社の変革に成功している他社経営者から学ぶと、やはりダイバーシティの推進は会社の中では欠かせませんし、これを思いきってやることが経営革新にもつながり、会社そのものの風土を変えることにもなる。そんなふうに考えました。

―― その当時、カゴメの業績は厳しい状態にあったのですか?

寺田 業績が悪く、会社を変えやすい環境にはあったんです。「このままではどうしようもない」「何かを変えていかないと」というタイミングでした。そのときにさまざまな改革に着手した中で、男女問わず、社員の働き方の改革を進めてきました。

「カゴメは男女を問わず、社員の働き方の改革を進めてきました」(カゴメ会長・寺田さん)
「カゴメは男女を問わず、社員の働き方の改革を進めてきました」(カゴメ会長・寺田さん)

顧客の7割、個人株主の5割以上が女性

―― カゴメは食品メーカーですから、お客さんを見ると女性が多いです。それでも会社を経営しているのは男性ばかり。ここにも問題があったのではないでしょうか。

寺田 当社の商品を買っていただいているお客様は、家庭用の商品でいうと7割以上は女性です。私どもは、ファン株主という個人株主が株式数ベースで約6割を占めている会社です。株主数にして約20万人。そのファン株主の属性を調べてみると、54%が女性です。ですから、女性から支持を得て、買っていただいている会社なのに、なぜそもそも社内に女性が少ないのか。ここに改めて疑問を抱いた――。そこからが会社変革のスタートになります。

―― 最近でこそESG(環境・社会・ガバナンス)経営というのが一つのキーワードになっていますが、ジェンダー平等、女性活躍推進というテーマに取り組んでいかなければ、投資家や株主の支持を得られないということにずいぶん早い段階から気付かれていたのでしょうか。

寺田 こうした取り組みを開始したのは2016年でしたので、やっと今4年経過したというレベルです。