目標を立てないことは、男性を特別扱いすることになる
―― クオータ制と言われる、管理職や役員の女性比率を何%にするという目標を掲げる方法があります。これに対して逆差別ではないかという声もあります。寺田さんはカゴメの中で目標値を掲げていますが、これにはどのようなお考えをお持ちですか?
寺田 当社は女性活躍の取り組みが遅れていたので、本来どうあるべきであろうかというところから発想して、女性管理職比率の数値目標として「50%」という目標を掲げています。社内すべての階層において50%にするという構想です。世の中の男女比を見ても、当社が女性に支持されている食品メーカーであるということを見ても、その数字が妥当ではないか、と考えたわけです。
新卒の入社志望者の男女比を見ると、女性が圧倒的に多いという実態があります。男女の採用人数を同数にしようとすると、女性の倍率が上がります。こうした背景もあり、今は新卒の新入社員の女性比率は6割にするという目標にしています。
遅れていたからこそ目標は絶対に必要です。女性管理職比率の目標である「50%」を達成するには20~25年ほどかかると思います。女性比率に関して目標を掲げると女性を特別扱いすることになるとおっしゃる経営者がいるのですが、目標を立てないと会社は変わっていきません。(女性比率目標を立てることが女性を特別扱いすることになるという考え方は)反対です。目標を立てないことによって、男性を特別扱いすることになるのです。
―― 男性が優遇されてきたということですからね。
寺田 そういうことです。社内でも始めのうちは一部から「寺田社長は女性を優遇していますね」という声が上がりました。「(それは違う。)今まで男性が優遇されていたんだ」ということです。しかし、最終的に課長にする、役員にすると評価する段階では「女性だから」という視点は入れていません。