2021年5月14日に開催されたジェンダーギャップ会議では、「ジェンダー平等を、トップの言葉に。組織の力に。」を合言葉に、スポーツ、政治、経済の各分野からリーダーや専門家を招き、ジェンダー平等に向けた課題と解決策を議論しました。本記事では、日本総合研究所 理事長 翁百合氏による、「人的資本強化とジェンダー平等の社会 -選択する未来2.0を踏まえて-」と題された講演の内容をリポートします。

 「選択する未来2.0」は内閣府に設けられた懇談会です。日本の未来について研究者、経営者、ジャーナリストなど12人で議論を進めてきました。まず、私たちが議論してきた、「なぜ日本の組織に人的資本の強化が必要なのか」という課題についてお話しします。

日本総合研究所 理事長 翁百合氏
日本総合研究所 理事長 翁百合氏

今こそ、日本社会を10年分前進させる社会変革の契機

 日本社会は長い間、生産性の向上や、少子化問題、東京一極集中といった構造的課題に向き合ってきましたがなかなか解決せず、むしろコロナ禍で状況は悪化しています。

 2021年には出生数が80万人を下回る見込みで、少子化は深刻な状況ですし、潜在成長率も横ばいから低下の傾向。コロナ禍によって、東京から地方への人口の移動は少し起こり始めています。

 よりよい未来を選択するためには、「少子化の流れを変える」、「付加価値生産性向上のための人的投資」、東京だけでなく各地域が稼げる「豊かな地方への転換」が必要だと認識しています。

 2020年6月に内閣府が1万人に実施したアンケートの結果によると、4割程度の方がテレワークを経験し、東京での就業者の5割が通勤時間が減ったと答え、その7割の人が通勤時間の変化を今後も保ちたいと答えています。

 20代の人たちの意識の変化も顕著で、東京から地方への移住を希望する人が35.4%、子育て世代の70%が家族との時間が増加し、その8割がそれを保ちたいと答えています。ワークライフバランスへの意識が大きく変化したことがうかがえます。

 2020年7月に懇談会が出した中間報告で、この新型コロナの危機を社会変革の契機と捉えて、日本社会を10年分前進させる改革を一気に進めるべきだと提言しました。