2021年5月14日に行われた、日経ウーマンエンパワーメントプロジェクト「ジェンダーギャップ会議」。プログラムのラスト、「女性が活躍する会社ランキング2021発表!~トップ企業の先進事例を徹底分析~」のイベントリポートをお届けします。
(上)女活上位企業の共通点 コロナ禍でも「推進は止めない」
(下)脱・体育会系組織! アクセンチュアの本気改革 ←今回はここ
男性にも「マイノリティー」を味わう経験が必要
日経WOMAN編集長 藤川明日香(以下、藤川) 私がアクセンチュアを取材して印象に残っているのは、女性管理職候補の人材開発プランを作成し、上司がフォローしたり、スポンサーシップ制度で引き上げたりするなど、非常にきめ細かい取り組みです。女性管理職を継続的に輩出するための施策で一番効果があったものを教えてください。
アクセンチュア常務執行役員 堀江章子さん(以下、堀江) 支援者は適切か(Right Sponsor)、役割は適切か(Right Role)、成長に適したお客様を担当しているか(Right Client)の観点でモニタリングを行う、管理職候補女性向けの「3Rスポンサーシッププログラム」です。
これは組織に影響力を持つ部長クラスが管理職候補の女性社員のスポンサーとしてサポートし、昇進を実現させる取り組みです。各人がサポートを受けながら力を発揮できる環境をつくり、本人が自覚を持って次のステップに前向きに取り組んでいるかをモニタリングすることで、あるべき形で実力を発揮できる状況になりました。
藤川 スポンサーシッププログラムを導入したいという企業も多いと思いますが、どんな点に気を付けて運用していますか?
堀江 通常のリポートライン(指揮命令系統)の上下関係のなかでは、思い切った将来のプランは話しづらいこともあります。そこで、直属の上司よりも少し上で、ビジネス全体を見ている人にスポンサーになってもらうと、担当プロジェクト以外の話も含めて相談できたりします。
視野が広がり将来的な展望が開けますが、相性もあるので、相談しやすいスポンサーとのマッチングには気を配っています。ただ、アクセンチュアは基本的に親身になって相談に乗ってくれる社員が多いこともあり、うまく機能したのだと思います。
藤川 アンコンシャス・バイアス研修にも力を入れていますね。
堀江 例えば大卒の日本人男性が多い会社だと、男性はマイノリティーになったことがない人も多いため、外国籍社員や女性社員の気持ちに気づけないこともあります。でも、アンコンシャス・バイアス研修を受けることで「自分がマジョリティーだったために持っている価値観の影響で、無意識にバイアスを持っていた」と気づいてもらえました。
日経xwoman発行人 南浦淳之(以下、南浦) マイノリティーを実感する研修を受けた男性は、どんな感想を持つのでしょうか?
堀江 「いつも同じような人たちのなかで議論しているから、こういう考え方の癖や傾向があるんだ」と気づくことができます。さらに、女性が多いイベントや研修に、女性9:男性1になるような状況をつくり、男性リーダーが参加することもあります。荒療治とも言えますが、「こんなに話に入りにくいと感じたことはなかった」「男性同士だと意識せずにできていた会話が、女性のなかではポンと話を振りにくい」という気づきがあるようです。その経験のおかげで、いろいろな人への配慮が高まったという声を聞いています。