長時間労働は評価しない。社長肝煎りの働き方改革

日経WOMAN編集部 岩井愛佳(以下、岩井) 2015年に江川社長主導で始まった働き方改革で、在宅勤務やウェブ会議が当たり前になったとのことですが、詳しく教えていただけますか?

アクセンチュア代表取締役社長 江川昌史さん(以下、江川) 長時間労働で疲弊していた社員が自信と誇りを取り戻すことを目指し、組織風土改革「Project PRIDE」を始めました。当時直面していた課題は3つで、1つはデジタル化ビジネスに向けた多様な人材の活用、2つ目は採用、3つ目がワークスタイルです。業績は良くても働き方が厳しいために、転職市場で敬遠されていたからです。

 また、残業も含めて週5日間フルで働くとなると、子育てをしている女性などが不利益をこうむります。いろいろな状況の人がいることを踏まえて、人事制度やプロセス、処遇など24の観点を見直しました。

江川社長主導の働き方改革で、「長時間働いて頑張った人を評価する」をやめた
江川社長主導の働き方改革で、「長時間働いて頑張った人を評価する」をやめた

南浦 具体的にはどんなことをなさったのですか?

江川 例えば、昔は顧客への提案を考えるときなど、「夜遅くまで頑張った人を評価する」雰囲気がありましたが、本当は定時までにどれだけパフォーマンスを上げられたかを評価すべきです。そこで、基本的に上司から18時以降に会議に誘うのは禁止し、管理部門だけに認めていた在宅勤務を2016年に全社に展開しました。在宅勤務が普通にできる環境でコロナの感染拡大が始まったので、仕事に影響はなかったですね。最初は「女性優遇では?」という声もありましたが、全社員が自由な時間・場所で働けることで、すべての人にとって働く環境は良くなりました。

南浦 定着するまでにどのくらい時間がかかりましたか?

江川 本気で取り組んだので1年ほどでカルチャーは変わりましたが、維持するのが難しかったです。「18時以降の会議禁止」も最初は守られますが、しばらくモニタリングしていないと元に戻りそうになります。新しいカルチャーとして定着するまでに3年ほどかかりましたし、今もこの活動は続けています。

堀江 たしかに、ある夕方の会議がなくなったら、空いた時間に別の会議を入れようとする人もいましたね。でも「絶対に禁止!」と言い続けたら、午前中早めに設定したり、週単位で時間の使い方を考えたりと、工夫するようになりました。結果的には、いいサイクルがつくれたと感じています。