アジアの他国では、取締役会での女性の発言が量と質とも高い

―― 世界経済フォーラム(WEF)が3月末に「ジェンダーギャップ指数(男女平等指数)2021年」を発表し、日本は120位となり、先進国では最も低い順位となりました。これは女性の役員比率が低いからというのも大きな要因になっているのでしょうか。

池田 そうだと理解しています。管理職の中から役員になっていくわけですけれども、管理職に占める日本の女性の割合は14.9%。就業者における女性の割合は44.2%ですから、管理職になると大幅に下がってしまうわけですね。

「女性従業員は44%なのに、管理職になると15%と、大幅に下がってしまうのが問題」(池田さん)
「女性従業員は44%なのに、管理職になると15%と、大幅に下がってしまうのが問題」(池田さん)

―― 黄さんは海外で上場金融機関の社外取締役の経験もありますね。グローバルで比較したとき、日本の女性管理職の割合について、どう実感されていますか?

 新生銀行の投資業務でアジアの出張によく行きましたが、役員・部長クラスに女性が「普通にいる」という感じですね。もう一つ実感しているのは、取締役会での女性取締役の発言の量と質も高いということです。

―― 今回の改訂で3分の1以上の独立社外取締役を求めるなど、社外取締役の量的・質的な充実が要請されていますね。

池田 コーポレートガバナンス・コードというのは最終的には中長期的な企業の価値向上に向けてドライブをかけていくところに目的があり、それにはダイバーシティ&インクルージョンが必要だということです。

 企業価値向上のためには、取締役会が経営環境を評価し、自社の企業特性を把握して、経営戦略の方向性を的確に示す必要があります。そのため、まずは取締役会レベルのダイバーシティを高め、それらに必要なスキルを取締役会の中にしっかりと備えておく必要があります。

 そのために取締役の専門性やスキルを示したスキル・マトリックスをつくり、その開示を求めることになりました。

 また、下の表には書いてありませんが、中核人材におけるダイバーシティという意味では、ジェンダー・国際性のほかに、職歴・年齢等の多様性の確保が今回入りました。

中核人材において、今後はジェンダー・国際性・職歴・年齢の多様性を確保し、情報を開示することが求められる
中核人材において、今後はジェンダー・国際性・職歴・年齢の多様性を確保し、情報を開示することが求められる

企業には、多様性確保について目標を掲げ、状況の開示を求める

―― つまり、役員をはじめ中核人材の多様化というのは経営戦略そのものというのが、金融庁のお考えですね。

池田 おっしゃる通りです。上場企業の皆さんにお願いする規律としては、女性、外国人、中途採用者といった方々の管理職への登用を含め、中核人材の登用と多様性の確保について、その考え方、目標を開示しながら、人材戦略をしっかり立てて人材育成方針も併せて開示してもらいたいと思っています。

「上場企業は目標を掲げるだけでなく、多様性確保にまつわる人材戦略・人材育成方針も併せて開示すべきだという規律をお願いする」(池田さん)
「上場企業は目標を掲げるだけでなく、多様性確保にまつわる人材戦略・人材育成方針も併せて開示すべきだという規律をお願いする」(池田さん)
多様性確保の対応、御社は大丈夫? ダイバーシティ入門

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文/長坂邦宏、構成/羽生祥子(日経xwoman)