日本CFA協会理事 黄春梅さん(以下、黄) 日本CFA協会では毎年1回、重要なテーマを決めて「JAPAN INVESTMENT CONFERENCE」を開催しています。2020年は「WOMEN IN INVESTMENT MANAGEMENT(資産運用における女性の活躍)」について議論しました。金融業界における話が中心ですが、おそらくどの業界にも共通する話だと思います。

 私が提示したい最初のデータは「経済的利点」についてです。OECD(経済協力開発機構)が2012年にまとめたものですが、「日本における女性の労働参加率が2030年までに男性並みにまで上昇すれば、労働参加率の変化がなかった場合と比べ、日本のGDPは約19.1%増加となる」というものです。

「日本における女性の労働参加率が2030年までに男性並みにまで上昇すれば、労働参加率の変化がなかった場合と比べ、日本のGDPは約19.1%増加となる」(黄さん)
「日本における女性の労働参加率が2030年までに男性並みにまで上昇すれば、労働参加率の変化がなかった場合と比べ、日本のGDPは約19.1%増加となる」(黄さん)

 次に「投資パフォーマンス」は男女で差が見られるでしょうか。実際には、「女性ファンドマネジャーの投資パフォーマンスは男性ファンドマネジャーと比べても遜色ない、もしくは平均を上回るといった調査結果がある」。これは2015年のKPMGによるデータです。

「女性ファンドマネジャーの投資パフォーマンスは男性ファンドマネジャーと比べても遜色ない、もしくは平均を上回るといった調査結果がある」(黄さん)
「女性ファンドマネジャーの投資パフォーマンスは男性ファンドマネジャーと比べても遜色ない、もしくは平均を上回るといった調査結果がある」(黄さん)

―― これは驚きの数字ですね。ヘッジファンドの運用は男性の方が向いていると思いがちですが、それは思い込みにすぎないのですね。

 そうですね。そしてもう一つ、「取締役会におけるジェンダー・ダイバーシティとガバナンスの関係」ですが、多様性のある取締役会を有する企業で優れたガバナンスが働いたというデータがあります。クレディ・スイスのデータですが、「2005年から2014年までの期間で、取締役会に女性がいる企業のROE(自己資本利益率)が14.1%だったのに対し、男性のみの取締役会を持つ企業のROEは11.2%だった」というものです。

「2005年から2014年までの期間で、取締役会に女性がいる企業のROE(自己資本利益率)が14.1%だったのに対し、男性のみの取締役会を持つ企業のROEは11.2%だった」(黄さん)
「2005年から2014年までの期間で、取締役会に女性がいる企業のROE(自己資本利益率)が14.1%だったのに対し、男性のみの取締役会を持つ企業のROEは11.2%だった」(黄さん)

 気候変動リスクへの対応、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言をもとにした開示内容についてのデータもあります。米ブルームバーグNEFと笹川平和財団が102カ国、1万1700社のESGデータを分析した結果です。それによると、「ジェンダー・ダイバーシティは、企業の気候変動ガバナンスおよび気候変動イノベーションと正の相関関係にある」と確認されています。

 特に女性取締役が30%以上占めている企業においては、環境情報開示スコアが相対的に高く、気候変動に対するガバナンスに優れているという結果が得られています。

「女性取締役が30%以上占めている企業においては、環境情報開示スコアが相対的に高く、気候変動に対するガバナンスに優れているという結果が得られています」(黄さん)
「女性取締役が30%以上占めている企業においては、環境情報開示スコアが相対的に高く、気候変動に対するガバナンスに優れているという結果が得られています」(黄さん)