―― 規模の大きな官公庁向けプロジェクトでPMとして手腕を発揮してきたということは、さぞやすご腕の実力者かと。PMは技術開発から線表管理、利害調整など、多数の集団を束ねる総合格闘技ともいえます。数千人に上る3社を合併する新会社社長に抜てきされたのは、こういった経験があるからですね。

山口 どんなプロジェクトでも、お客さま、ビジネスパートナー、社内メンバーなど、大勢の人たちと円滑なコミュニケーションが図れるかにかかっています。そのコミュニケーションがうまく取れれば、さまざまな課題が生じてもやり切れるもの。その点において、井上には厚い信頼を寄せています。

社内メンバーの受け止め方も大事。一丸となった

―― 新社長就任の知らせに、社内外からどんな反響がありましたか?

井上 発表翌日は、「応援します」という温かいメッセージを多数いただいて感激しました。社内はもちろん、お客様や同業他社の方からも、「IBMのDX改革への本気度が伝わりました」「どういう会社になるのか、今からワクワクします」というような、うれしいメッセージばかりでした。

 加えて、私がまだ知らない、新会社でキーパーソンとなる人材や優れたプロジェクトについて教えてくれるメールも多くありました。改めて、それぞれの会社が「ワンチーム」となり、素晴らしい働きをしていることを教わりました。

山口 性別や年齢ではなく、トップに必要な条件で決めた社長人事ですが、その過程では、社内のメンバーがどう受け止めるかということは、当然考慮しました。結果として、みんなが井上社長を受け入れて、一丸となって応援するムードが生まれたのは非常によかったですね。

「井上のメンターとして、さまざまな相談にものってきました」(山口さん)

 後編は、井上新社長のこれまでのキャリア、ターニングポイントについて詳しく聞きます。

インタビュー/羽生祥子(日経xwoman総編集長) 取材・文/工藤千秋 撮影/洞澤佐智子