2022年5月13日に行われた、日経SDGsフォーラム「ジェンダーギャップ会議」の様子をお伝えします。パネルディスカッション「選ばれる企業と多様性~男性育休と女性育成の最先端~」には、日興アセットマネジメント代表取締役社長のステファニー・ドゥルーズさん、ファザーリング・ジャパン理事の塚越学さんが登壇。2022年4月から改正法が施行された「男性育休」と、資産運用業界の女性活躍について討論を行いました。コーディネーターは日経xwoman客員研究員 羽生祥子が務めました。

(上)「世界一の男性育休制度」を生かせ 日本の課題は←今回はココ
(下)女性を昇進させるなら、機会とチャレンジを与えて信頼を

資産運用業界では女性のトップはまだ珍しい

写真中央が日興アセットマネジメント代表取締役社長のステファニー・ドゥルーズさん。右がファザーリング・ジャパン理事、東レ経営研究所チーフコンサルタント 塚越学さん。左がコーディネーターの日経xwoman客員研究員 羽生祥子
写真中央が日興アセットマネジメント代表取締役社長のステファニー・ドゥルーズさん。右がファザーリング・ジャパン理事、東レ経営研究所チーフコンサルタント 塚越学さん。左がコーディネーターの日経xwoman客員研究員 羽生祥子

日経xwoman客員研究員 羽生祥子(以下、羽生) 「ジェンダーギャップ会議」では、企業におけるダイバーシティやインクルージョンがなぜ組織の成長につながるのかを、先進企業の実例などから学んでいます。今日はその中でも特に「男性育休」と「女性登用」について取り上げます。

 では、まずステファニー・ドゥルーズさん、自己紹介をお願いします。金融や投資運用の業界では、まだ女性のトップは珍しいとのことですね。

日興アセットマネジメント代表取締役社長 ステファニー・ドゥルーズさん(以後、ステファニー) 金融業界では、女性のトップは多いとは言えない状況です。私自身の紹介を少しさせていただくと、私はシングルマザーで子どもが3人、そのうちの1人はグアテマラから迎えた養子です。英オックスフォード大学や米ハーバード大学大学院で学び、モルガン・スタンレーからキャリアをスタートさせました。様々な会社で働き、常に「ポジティブな変革をもたらしたい」という熱意を胸に仕事をしてきました。

 それから個人としても、動物保護、環境、人権などの問題にも関心があり、様々な取り組みをしています。

「仕事、家族、社会貢献活動、すべてが私にとって重要です」と話すステファニーさん
「仕事、家族、社会貢献活動、すべてが私にとって重要です」と話すステファニーさん

羽生 ジェンダーギャップの解消だけではなく、本当にいろいろな分野で挑戦しているんですね。では、続いて塚越さん、お願いします。

ファザーリング・ジャパン理事、東レ経営研究所チーフコンサルタント 塚越学さん(以下、塚越) 私は父親を支援するNPO団体ファザーリング・ジャパンの理事で、今年4月に施行された男性育休義務化促進の法改正にも関わり、内閣府の委員も務めています。もともとは公認会計士として大手監査法人に10年ほど勤め、今は東レ経営研究所で各企業や自治体に向けた人事コンサルティングを中心に行っています。

 私には子どもが3人いて、3回育休を取得しました。第1子のときに育休を取得していなかったら、第2子も第3子も生まれなかったかもしれない。それほど、「出産後の2週間」は大事ですし、衝撃的でした。今はすべての男性に育休を取得してほしいと考えています。

「出産後の2週間は大事ですし、衝撃的でした」と、自身の育休を振り返る塚越さん
「出産後の2週間は大事ですし、衝撃的でした」と、自身の育休を振り返る塚越さん

 こう言うと「塚越さんのお宅は共働きなんですね」と言われるんですが、第2子の出産時までは妻は専業主婦でした。