「夫が育休を取りますので」

塚越 その後、妻は派遣社員として復帰し、企業との直接雇用になるタイミングで第3子の妊娠が分かりました。企業からは「直接雇用になって1年未満なので、育休取得はできないが、大丈夫ですか」と言われ、「大丈夫です。夫が育休を取りますので」と言って帰ってきました。私には事後報告だったんですが(笑)。第3子のときも私が育休を取り、妻は今では正社員として働いています。

羽生 ありがとうございます。この4月、日本はダイバーシティに関するルール変更のラッシュでしたね。1つ目は、東京証券取引所の再編に伴うコーポレートガバナンス・コードの改訂。上場企業は女性・外国人・中途採用者といった多様性の確保について、プロセスを開示するよう求められています。2つ目は「女性活躍推進法」の改正。対象が従業員数101人以上の中小企業に及んでいることがポイントです。そして3つ目は事業規模を問わず、男性育休の推進が義務化されたこと。そして4つ目が非財務情報の開示ですね。従業員の賃金格差も開示が求められます。

羽生 この4つのうち、まず「男性育休」について考えたいと思います。塚越さん、男性育休の「義務化」と聞いて驚いている人もいると思いますが、いかがですか。

塚越 義務化は「個人に対する義務化」ではなく、雇用環境の整備や制度の周知、意向確認という「企業に対する義務化」です。さらに2022年10月からは、現行の育休とは別に、産後8週間以内に2回まで分割して取得できる「産後パパ育休」が設置されます。育休は2回まで分割可能になり、これらの改正によって、男性は最大4回、女性は2回に分けて取得できるようになります。

 これまでは男性側から企業に「育休を取りたいです」という働きかけをするのが一般的でしたが、これからは企業側が「育休はどうする?」とファーストコンタクトを取る必要があります。この点について上司がピンと来ていないと大変です。

 実際に「男性育休制度の周知」「届け出先の周知」「育児休業給付金」「社会保険制度の免除」と4つの課題がパッと頭に浮かんで、話せる上司がどのぐらいいるでしょうか。上司が知識をアップデートできていないとコンプライアンス違反、ハラスメントの火種になるかもしれません。

羽生 火種というと?