投資運用部門に女性が少ない理由

ステファニー ある調査によれば日本に拠点を置く大手運用会社を見てみると、女性社員の割合は36%ですが、管理職の割合は12%です。ただ、これは米国などを見てもあまり状況は変わりません。2018年の米マッキンゼー・アンド・カンパニーのリポートによると、入社当時の男女比率はほぼ半々ですが、昇進するごとに女性の比率が下がっていきます。皮肉なことに、私たちはアセットマネージャーとして企業のD&Iを評価しながら、運用業界自体がお手本になっているとはいえない状況なのです。

金融機関の管理職に女性が少ないのは米国などでも同じだとステファニーさん
金融機関の管理職に女性が少ないのは米国などでも同じだとステファニーさん

 特に投資運用部門では女性が少ないですね。英フィナンシャル・タイムズが22の世界の大手資産運用会社を調べたところ、全社員の女性比率は平均で約40%、ポートフォリオ・マネージャー(投資・運用責任者)は約18%、運用チームは約26%だったそうです(2021年3月20日付)。この状況を受け、同紙では「英国ではDaveやDavidといった男性の名前のポートフォリオ・マネージャーに運用されるファンド数が、女性によって運用されるファンドよりも多かった」と書いています。

 女性のポートフォリオ・マネージャーは、育休を取得すると運用実績が途切れてしまうため、出産後に復帰した際に一からやり直すことを余儀なくされてしまいがちです。なぜ、間欠的な働き方が認められていないのでしょうか。本来、ポートフォリオマネジメントは多様な観点から見るのが一番いいはずであり、「1日24時間、スイッチオンの状態で働かなくてはいけない」というカルチャーがあるとしたら、本来あるべき姿から遠ざかっていないでしょうか

羽生 「ポートフォリオ・マネージャーが男性だけのチームよりも、男女混合チームのほうが良い運用成績を出した」という調査結果もありますね。ですから、「運用は男性の仕事だ」というのは間違ったステレオタイプですよね。

ステファニー そうです。「ポートフォリオ・マネージャーに女性が含まれていたほうがパフォーマンスは良くなる」というのは、非常にパワフルな事例です。ポートフォリオ・マネージャーにはリスク調整が重要となりますが、「どのようなリスクがあるか」を考えるには、やはり多様な観点が必要になるのです。


 後編「女性を昇進させるなら、機会とチャレンジを与えて信頼を」に続きます。

構成/三浦香代子