金融業界は男女賃金格差が大きい

塚越 内閣府のデータによると「役職別に見た男女の賃金格差(2020年)」は、部長級が男性943.3万円、女性783.0万円で、男女間の格差は83%。課長級は男性812.9万円、女性702.4万円、男女格差は86.4%、非役職では男性483.4万円、女性380.6万円、男女格差78.7%となり、どの役職でも賃金格差があります。

「どの役職でも賃金格差がある」(塚越さん)。図版は塚越さんの登壇資料より
「どの役職でも賃金格差がある」(塚越さん)。図版は塚越さんの登壇資料より

塚越 産業別に見ると、賃金格差が少ないのは運輸業・郵便業ですが、それでも80.4%。一番格差が大きいのは金融で59.5%ですので、確かに金融業界は男女差が大きいと分かりますね。さらにこちらのデータでは正社員の男女間、非正規社員の男女間、大卒、高卒と同一条件で比較しても、すべてにおいて日本では男性のほうが女性よりも給料が高いという結果になりました。世界でもペイギャップがあるけれども、日本では顕著だということですね。

 この賃金格差があると賃金の高い男性が仕事の中心になり、女性は補佐的な仕事が中心になるという構造上の問題が起きてしまいます。ですので、今日のパネルディスカッションを視聴している皆さんは、この問題をまずは自分の企業に持ち帰って、具体的な対策を考えてもらいたいですね。

組織を変えるには何から始めたらいいか

羽生 ここからは企業の人的資本について考えたいと思います。ステファニーさんは今春から代表取締役社長になり、さまざまな取り組みにチャレンジできる絶好の機会ですね。

日興アセットマネジメント代表取締役社長 ステファニー・ドゥルーズさん(以下、ステファニー) はい。私は社長になる前からも人材育成を積極的に推進してきました。社長になっても続け、さらに進めるつもりです。

 今はどうやってみんなを巻き込むかということを考えています。まずは目標設定をするのが大事だと考え、「女性の管理職比率を2030年までに、グループ全体で30%に引き上げる」ことを決定しました。あまり野心的な数字に見えないかもしれませんが、現状では管理職予備軍に女性が少ないため、これでもチャレンジングな目標です。

「女性の管理職比率を2030年までに、グループ全体で30%に引き上げる」(ステファニーさん)
「女性の管理職比率を2030年までに、グループ全体で30%に引き上げる」(ステファニーさん)

ステファニー それから、社員のパフォーマンス評価にサステナビリティの要素を取り入れました。各個人の年次目標に必ずサステナビリティについての項目を含めることにし、その達成度がパフォーマンス評価に反映されます。女性社員への研修やメンター制度の導入、サステナビリティレポートを通じた情報開示の充実にも積極的に取り組んでいます。