還暦でライフネット生命を開業し、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明さん。1万冊以上の本を読破した「知の巨人」としても知られています。日本の男女格差がなかなか解消されない理由や、女性活躍推進のために企業がなすべきことなどを、日経xwoman総編集長 羽生祥子が4回シリーズで聞きました。2回目のテーマは企業のダイバーシティについて。「組織の多様性が増すと意思決定が遅くなるのでは?」「マネジメントがやりにくい」といった意見に、真っ向からメスを入れます。

同質なメンバーが集まると「忖度」が生まれる

日経xwoman総編集長 羽生祥子(以下、――) 出口さんはご著書『ここにしかない大学』の中で、多様性のある組織のメリットを「混ぜると強くなる」という言葉で表現されました。しかし現状ではまだ多くの組織が、「異なる人材を排除したほうが物事を進めやすい」と考え、同じような年齢の男性で経営層を固めていますね。

出口治明(以下、出口) そういうおじさんには、2019年のラグビーワールドカップの話をしてください。日本は「ワンチーム」を掲げてベスト8に入りましたが、あの結果は日本出身の選手だけで実現できましたか? あのチームのメンバーは全員日本語が上手なわけでもなかった。それでも、目標が明確で、リーダーの指導が的確なら、結果は出せる。混ぜると強くなることを彼らは証明したじゃありませんか。

立命館アジア太平洋大学(APU)の学長を務める出口治明さん

出口 それに、多様性が増すと意思決定が遅くなるというのは、全く逆です。「じゃあグローバル企業の意思決定はなぜ早いんですか?」と聞いてみればいい。

 日本企業の意思決定が遅いのは、同質の人間が集まることで互いに忖度(そんたく)しあって、物事を決められなくなるからです。例えば、一人の役員が「俺は聞いていない」と怒ったので、次の役員会まで決を採るのはやめて、その間に機嫌を取りに行こう……とか、無駄な作業が発生するんですよ。でも、バックグラウンドの異なる人たちが集まった組織なら、数字、ファクト、ロジックで説明した後は多数決で決めるしかありません。シンプルで簡単です。

出口さんも登場! 
9月4日(金)10時~ 参加無料
日経 ウーマンエンパワーメントプロジェクト
『ジェンダーギャップ会議』
~多様性のある組織が勝つ!~

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