数値目標で「育成計画」プランを具体化する
――企業は、女性リーダーを増やすためにどう取り組めばいいのでしょうか。
及川 「何年までに女性管理職比率を何割にする」といった数値目標に対して、否定的な声もありますよね。
でも、私は、数値目標は必要だと考えています。ただ頭数をそろえるだけでは意味がありませんが、数値目標の設定が人材育成の枠組みやモデルを考えるきっかけになるからです。「目標数値を達成するために、何人の候補者を何年かけて育成するか」といったように、人材育成のプランを具体化できます。
――ポーラはどんな目標を掲げているのですか。
及川 2029年に迎える創業100周年に向けて、2020年6月に、新しい「サスティナビリティ方針」を掲げました。2029年までのSDGs(持続可能な開発目標)の目標数値を、社会、経済、環境に分類して、ゴールを定めています。
SDGsのゴール5「ジェンダー平等の実現」については、女性管理職比率を総合職従業員の男女比率(現在、男性:女性=53%:47%)と同等に高めるという目標を立てています。このほか、育休取得率を男女ともに100%にすることを目指します。
けれど、ポーラの総合職従業員1000人強だけでジェンダー平等を実現しても、社会に影響を及ぼすのは難しい。だから、地方へ波及させたいと考えています。
そのために、新しいサスティナビリティ方針では、全国で、月商500万円以上のショップオーナーを1200人まで増やすという数値目標を掲げています。彼女らが地域経済に貢献し、リーダーシップを発揮する存在になることで、ジェンダー平等の地域格差もなくしていければと思います。
