最初の一歩は、経営トップが女性の可能性を信じること

――日本の企業が、ジェンダー平等を進めるためには、一番何が重要だと思われますか。
及川 「トップの意志」。これなしには、前に進まないでしょう。
多くの日本企業には、男性が組織の基盤や枠組みを決めてきた歴史があります。そのためか、そもそも土俵に上がれていない女性がいる。それに気付き、障害をトップ自らが取り除いていく意志を持たなければならないと思います。
ポーラの場合は、歴代トップが女性の可能性を信じてきました。「機会を提供すれば、女性の可能性は無限大に広がる」と。なぜ、彼らが女性の可能性を信じられたのかというと、「ビューティーディレクター」の活躍を間近で見ていたからだと思います。
ポーラにはビジネスパートナーとして、販売を手がける個人事業主であるビューティーディレクターが約4万1000人、ショップオーナーが約4000人います。ビジネス経験がない主婦からスタートし、ショップオーナーとして月商数百万~数千万円までに事業を成長させた女性が何人もいます。だから、彼女たちの成長を間近で見ていた歴代トップも、女性の可能性を素直に信じることができたんだと思うんです。
まず経営トップ自らが女性の可能性を心から信じてみてください――と、そうお伝えしたいです。
及川美紀
ポーラ 代表取締役社長
ポーラ 代表取締役社長

文/青木典子 写真/木村輝