「東大と女性」にポジティブなイメージが足りない

 でも「東大と女性」だと、特に男性からはポジティブなイメージを持たれにくく、さらに、卒業後のキャリアパスを描きにくいという課題もあります。東大から何をどう学んで、社会にどう生かすかという点について、ロールモデルが不足しているため、迷ってしまう。メディアの影響もありますが、大学にも責任があるなと反省しています。東大を卒業した女性が、家庭を持って子育てもして研究室も行って……。そんな人生は、これまであまりイメージされてきませんでした。「東大と女性」にポジティブな可能性があることを、もっときちんと示していく必要があります。

藤井 一方、男性の東大生にも、大企業や官公庁に就職して……というある種のステレオタイプがあります。しかし、今はもう「東大に入ればOK」という時代ではありません。大学で何を学んで、今の社会にどう生かしていくかは一人ひとりきちんと考える必要があるし、大学側もいろいろな可能性を見せていきたい。そこは男女関係ないかもしれません。

 総長は起業家育成にも力を入れていますよね。「東大EDGE-NEXT起業家育成プログラム」など起業家人材を育成するプログラムへの参加者には女性も多く含まれています。

藤井 「起業=男性」という図式は望ましくありません。女性もビジネスを起こしてグローバル展開まで持って行けるように、我々が支援しなくてはいけないと思っています。

 新しい生き方を志す東大生も多いのですが、まだまだ世間のイメージが追いついていないように感じます。社会と対話をする中でそのイメージを改め、あらゆる人に「私にも東大に居場所がある」と思ってもらうことが大事です。

文/久保田智美(日経xwoman編集部) 写真/鈴木愛子