女性一人は居心地が悪い?

―― では、2つ目のテーマです。先ほどのアンケート結果には、「男性の忖度文化に違和感」「女性のネットワークが少ない」といった声が見受けられました。また、「女性が組織の中で一人でいるのは居心地が悪いし、不安」という女性の声がありますが、これについて石渡さんはどう思われますか?

石渡 これは性別の問題だけではないと感じます。例えば、全員が正装している中、自分だけジーンズで来てしまって、「自分だけちょっと違うぞ」「場違いなところに来てしまったぞ」と感じる居心地の悪さに似ているかもしれません。

 この「居心地の悪さ」が、自らの能力不足に起因するものであれば、努力して能力を上げる必要があります。しかし、周りが全員男性で女性は自分一人というときや、自分とは全く違う価値観を持った集団に入ってしまったときは、自分の努力だけでは解決できない部分があると思います。

―― 以前、私は男性社員の多い会社で行われた、マネジャー候補研修でお話をしたことがあります。その中には実績ある若手の男性社員が参加していました。5人ずつのグループディスカッションのとき、男性はその方一人で、残り4人は全員女性にしてもらったんです。すると、いつもハキハキと自信があるプレゼンをする彼が、しどろもどろになり意見が言えなくなってしまった。「女性4人に囲まれて本音を話せなくなってしまった」と振り返っていました。

 やはり同質性の高い集団にぽんと一人放り込まれると、男性でもなかなか自分の意見を言いだしにくくなってしまうものなのかもしれません。佐久間さん、いかがでしょう。

「やはり同質性の高い集団の中に一人ぽんと放り込まれると、意見を言いだしにくくなってしまうものでしょうか?」(羽生)

佐久間 どうでしょうか。現在、当行で活躍中の女性行員はみんな積極的です。男性に一人囲まれても堂々としていることが多いですよ。例えば、女性支店長に集まってもらって本部に要望事項を伝える機会がありますが、男性の支店長であればなかなか言わないようなことまでズバッと言ってくれるので「そんな課題もあるのか」という気付きがあります。

 ただ、私はマイノリティの気持ちを味わった経験があります。私の妻は中学校の教師でした。若い頃、子どもの授業参観日に妻が仕事で行けないときがあり、私が参加してほかのお母さんたちに交じってイチゴのショートケーキを作ったんです。楽しかったですが、緊張しましたね。

 千葉銀行におけるジェンダー平等の素地は、私の家庭における経験に基づいているところもあります。今でも男性行員に対しても家事を自主的にやるように言っています。

女性管理職の任命は複数人同時に

―― 佐久間さんは共働き夫婦としての経験がオリジンのひとつなのですね。また、千葉銀行では女性管理職を任命するときは、1人ではなく複数人を同時に任命されているそうですね。

佐久間 はい。1人だと余計なプレッシャーを受けてしまうという話を聞いているからです。現在、3人いる社外取締役のうち2人は女性で、この2人は同時に任命しました。この結果、取締役会がとても活性化しました。それまであまり発言しなかった男性役員も活発に議論するようになり、様変わりしました。

 女性部長も徐々に増えて現在は6人になり、そのうち2人には法人営業と住宅ローン推進の営業部門を任せています。

 女性一人だと、プレッシャーを受けてしまうということを私が学んだエピソードがあります。

 私がかつての女性部下に、土日祝日も営業する「ちばぎんコンサルティングプラザ」の所長になってもらおうと内示を出したところ、相当プレッシャーに感じてしまったようでした。最初は「できない」と言われたのですが、始めてみたら期待以上の仕事をしてくれて、その所長がその後、第1号の女性部長となりました。そのときの経験から、女性管理職を任命するときは複数人を同時に、と決めています。

女性を長期的に育成することが肝心

―― 「女性は複数人を同時に任命する」という手法は他社にも通じる戦略かもしれませんね。でも、「複数人なんていないよ、1人がせいぜいだよ」という声が聞こえてきそうな気もしますが。

佐久間 ですから、できるだけ複数人を同時に登用できるように育成をしていく必要があるのです。

―― 長期的な視点で、「あと何年後に何人の女性を登用しよう」と考えていくということですね。

佐久間 そうです。5年計画、10年計画で人を育てていかないといけないと思います。

構成・文/小田舞子(日経xwoman編集部) 写真/木村 輝