社内メンターを自分で探して相談

花王執行役員 石渡明美さん(以下、石渡) 「のし上がった」という表現には違和感があります。私には「社内でのし上がりたい」という気持ちは全くなかったんです。今振り返ると、その都度、相談に乗っていただける適切なメンターがいたということが、私にとっては大きなプラスだったと思います。

 このメンターとは、人事から任命された人ではなく、私から一方的に「この人はメンターだ」と思って相談していた方々です。そうしたメンターに相談する中で、「自分自身が思い込んでいる自分」と、「外から見える私」は違うということを何回か経験したんですね。

 例えば、それまでと全く違う部署に異動になったときに「なぜ君が異動になったか」という理由を、「君がこういう経験を持っているから上が引っ張ってくれたはずだ」とアドバイスしてもらえて、ストンとふに落ちるといった場面が何度かありました。

「振り返ると、その都度、相談に乗っていただける適切なメンターがいました」(石渡さん)

―― アドバイスをくれたメンターは、直属の上司ですか?

石渡 直属の上司だったり、先輩だったり、元役員の方だったり、男女共にいろいろな方がいらっしゃいました。その都度、歯に衣(きぬ)着せぬ話しぶりで、私のいいところも悪いところも分かった上でズバッと言ってくれる方がいらした。これは私にとってものすごいプラスになりました。

―― 石渡さんの仕事ぶりをしっかり見ていなければそうした的を射たアドバイスはできないと思うのですが、社内にそうしたネットワークは積極的につくっていたのですか?

石渡 「この人は私のことを買ってくださっているな」「分かってくださっているな」という方に私の事情や家のことを話すようにしていました。一人目の子が生まれた頃は育児休業制度もない中で子育てと仕事を両立していたので、「のし上がりたい」なんて考える余裕もなく、こなしていくことで精いっぱいだったんです。

―― 日本ではまだ数少ない女性役員。そんな方々を見るとすぐに「のし上がった」などと表現するのは、これこそステレオタイプですね。失礼致しました!